藤井王将“臨機応変”「さまざまな形に対応できれば」序列1位の自然体と自覚

[ 2023年1月21日 05:25 ]

ポーズをとる羽生九段(左)と藤井王将(撮影・小海途 良幹、岸 良祐、河野 光希)
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 将棋の第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負第2局は21日、大阪府高槻市の摂津峡花の里温泉・山水館で、午前9時から始まる。20日には開幕戦先勝の藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=と挑戦者・羽生善治九段(52)が現地入り。対局場検分、前夜祭など前日イベントをこなし、世紀の対決第2ラウンドに備えた。

 先勝した藤井は臨機応変の構えを見せた。主導権を握りやすい先手番だった第1局。ところが後手・羽生が主張した一手損角換わりの変化球に応対し、見事打ち返した。

 対局前に振り駒があるため、先手後手が不明で対策を練りづらい第1局と違い、後手に決まって臨む羽生とのタイトル戦初対決第2ラウンド。「(羽生は)本当にかなり広い戦型選択をされる。さまざまな形に対応できれば」と語る口調は、全8冠中5冠を独占する序列1位の自然体だった。

 前期に続き、藤井が第2局を迎える高槻は、来秋の完成を目指す本拠地・関西将棋会館の移転先だ。「地元の方にも歓迎してもらい、うれしく思います。対局場が落ち着いた雰囲気で集中して指せた記憶がある」と好相性を語った。対局場検分では立会人の谷川浩司17世名人(60)から意見を求められ、照明の明るさを落とすよう提案した。20歳ながら序列1位の自覚を言動で示しつつある。

 第1局終了後、15日の朝日杯1、2回戦と収録済みだった同日放映のNHK杯の全てに勝利し、「1日3勝」を達成した。さらに18日はA級順位戦でも勝利。第1局終了時点の今年度36勝7敗に4勝を追加し、40勝7敗とした。

 「朝日杯の2局はミスが多かった。持ち時間を意識して、しっかり考えるべきところで考えられなかった」

 朝日杯は持ち時間40分の短期決戦。とりわけ2回戦は敗色濃厚の終盤、王手12連発で逆転した。

 より高みを目指す藤井は起こるべくして起こったミスを放置しない。そして、到達した今年度勝率は.851。月内の第2、第3局に連勝すれば、中原誠16世名人(75)が67年度に残した歴代最高.855(47勝8敗)を42勝7敗の.857で暫定的に超える。55年ぶりの記録更新が、カウントダウンに入るかも注目されそうだ。 (筒崎 嘉一)

 ≪江戸時代後期の駒を見学≫検分の前に、両対局者は市内の博物館「しろあと歴史館」を訪問。1989~90年に高槻城三の丸跡から出土した将棋の駒を見学した。

 駒は江戸時代後期のものとみられ、計47枚。館長を務める千田康治さん(49)は「藤井王将は熱心に、羽生九段は説明に相づちを打ちながら見られていました」と話した。

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