【芸人イチオシ】異色の経歴 元CA「CRAZY COCO」修羅場で磨いた笑いの“お・も・て・な・し”

[ 2022年11月12日 19:55 ]

元CAのピン芸人・CRAZY COCO
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 36歳の新人CRAZY COCOは元CAという異色の経歴の持ち主。芸人になったきっかけは吉本興業のスカウトと、こちらも珍しい。

 素人として出場した昨年の女芸人No.1決定戦「THE W」でCAのあるあるネタを披露したところ事務所の人間の目に止まり、声をかけられた。デビューわずか5カ月でテレビ朝日の人気番組「アメトーーク!」に出演するなど早くもブレークの兆しを見せているが、彼女の強みの一つはクレイジーな経験に裏打ちされた図太さにある。

 きらびやかなイメージのあるCAの世界だが、実際は修羅場の連続だという。おまけに彼女が働いていたのは外資系の航空会社。母国語も文化も違う外国人に訳も分からずに怒鳴られることは日常茶飯事だった。なかでも強烈だったのは英国のフライトでの出来事。パブ文化のあるイギリス人は航空機のお酒が空っぽになるほど飲む。機内は地上の7倍酔いやすいため、そのうち客の制御がきかなくなって暴れ出し、座席などを壊し始めたことがあった。

 こんな時に一肌脱ぐのもCAの役目。CRAZY COCOはキャビンクルーと協力して身動きが取れないようにシートベルトで暴徒と化した客をぐるぐる巻きにして固定。トイレに行きたがっても「ノー」と突き返した。空港に着くまでの10時間近く、一度もトイレに行かせなかった。

 フライトは10時間に及ぶこともある。そんな過酷な毎日の中で、「普通に働いていてもおもんない」と業務をアレンジすることもあった。そこで同僚と思いついたのが「白目でサービスしてばれるかばれないかゲーム」。白目をむいたまま機内食を提供できるかを競ったといい「意外とばれなかった」と得意げ。「ばれても“ドライアイなんです”って言ってごまかせばどうとでもなる」と笑いながら振り返った。

 そんな振る舞いから同僚に付けられたあだ名は「クレイジージャパニーズ」。日本人は「真面目でおとなしい」というイメージを持っている外国人から「お前みたいな日本人には会ったことがない」と言われた。あまりの肝の据わりっぷりに、コンパで男性から「思っていたCAと違う。一歩下がって付いてきてくれるような女の子が来ると思っていた」とがっかりされたこともあったという。

 このタフさは芸人としても役立っている。9月に出演した「アメトーーク!」ではCA時代の男性遍歴やベッド事情を赤裸々に披露。先輩芸人に対してもグイグイと前に出て、スタジオの博多華丸・大吉の博多大吉(51)から「ほんとに君はクレイジーだね」という“最高の褒め言葉”も頂戴したほど。「全く緊張しなかった。英語でめちゃめちゃクレームを言われて、それに対処しないといけないことを超える緊張はない」と目下のところ怖いものなしだ。

 この9月に出演した「アメトーーク!」が反響を呼び、放送後2週間でYouTubeの登録者数は1・4万人から3倍近い4万人まで増加し、今では8万人超え。インスタグラムでは「東京CAと大阪CAの明らかな違い」などのネタ動画を投稿し、フォロワー数は16万人を超えている。劇場にはまったく立たずにSNSを主戦場に活動をしているのも芸人としては珍しいパターンだ。

 最速で売れるためSNSの拡散力に目を付けた。「年齢を考えたときにショートカットしたいなって思った」というのが、その理由だ。クレバーな立ち回りで作戦は今のところ大成功。彼女がターゲットにするのは、劇場に通うコアなお笑いファンだけではなく、幅広い層のSNSユーザー。投稿するネタ動画については「小さい子が見ても理解できる内容に」と分かりやすさとインパクトを意識している。

 「悩んでいる人にケータイ見て、息抜きにふふって笑ってもらいたい。あほだな~この人。何やってんやろって思ってもらえたら」

 客室乗務員からの華麗なる転身。「笑いのおもてなし」で客をトリコにする。

 ◇CRAZY COCO(クレイジーココ) 1986年(昭61年)9月6日生まれ、大阪府箕面市出身の36歳。趣味は旅行、ヨガ。特技はダンス、大豆ミート料理作り。血液型O。

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