ウィル・スミス 強烈ビンタの代償…オスカー剥奪の可能性 正式調査開始

[ 2022年3月30日 05:30 ]

米アカデミー賞の授賞式でクリス・ロック(左)を殴るウィル・スミス(ロイター)

 米俳優ウィル・スミス(53)にオスカー剥奪の可能性が浮上した。27日(日本時間28日)に行われた第94回アカデミー賞授賞式で、コメディアンの男性に平手打ちを食らわせた騒動から一夜明けた28日、主催する映画芸術科学アカデミーは「スミスの行動を非難する」との声明を発表。正式な調査を開始することを明らかにし「さらなる措置を検討することになるだろう」とも表明した。

 強烈ビンタの後も続いた授賞式でスミスは「ドリームプラン」で主演男優賞を受賞。米紙ロサンゼルス・タイムズは「受賞はしたが、オスカーは平手打ちで失うかもしれない」との見出しの記事を掲載した。

 アカデミーは28日に緊急オンライン会議を開催し「前例のない暴力の暴発」について話し合い、30日に理事会を開催することを決定。理事会は行動規範に違反する行為があった際は、資格の一時停止や、剥奪などの処分を下す権利を持っている。

 式ではプレゼンター役で登場したクリス・ロック(57)が、スミスの妻で女優のジェイダ・ピンケット・スミス(50)の髪形をからかうような冗談を口に。スミスがステージに上がり、頬に強烈なビンタを食らわせた。米メディアによると、ジェイダは脱毛症に悩まされているという。ただ、ロックはそれを知らなかったとの報道もある。

 スミスは28日、ロックに対して「公式に謝罪したい。私は一線を越えた。間違っていた」とSNSに投稿。自らの行動について「ジェイダの健康状態に関するジョークは我慢ならず、感情的に反応してしまった」と釈明した。27日の受賞のスピーチで「アカデミーや候補者の仲間たちに謝罪したい」と涙ながらに述べたが、ロックには謝罪していなかった。

 平手打ちを巡っては、俳優や放送関係者らでつくる全米映画俳優組合が「容認できない」と非難。コメディアンらも「今回の件をまねて、暴力を振るわれる可能性がある」と訴えている。一方で妻への侮辱に立ち向かったことを擁護する声もあり、脱毛症を患っている下院議員の女性は「毎日のように無知と侮辱に耐えて生きる妻を支える夫たちを応援する」と感謝の声を上げた。波紋はまだ広がりそうだ。

 《各界から賛否》スミスの行動に、欧米では各界から賛否の声が上がっている。テレビ界で優れた功績を挙げた人物らに贈られる、米エミー賞受賞コメディアン、ロジー・オドネルはツイッター上で「正気をなくしたナルシシストの有害な男らしさだ」と厳しく非難。女優でコメディアンのキャシー・グリフィンは「劇場で次のスミスになろうとする人に気をつけなくてはいけない」と指摘した。一方、英国の男性グループ「ワン・ダイレクション」元メンバーのリアム・ペインは「彼は、そうするだけの権利があった」とコメントした。

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2022年3月30日のニュース