「おかえりモネ」NHKプラス朝ドラ歴代最高 期間平均16・3% 大台超え一度もなく苦戦もSNS反響

[ 2021年11月1日 09:00 ]

連続テレビ小説「おかえりモネ」のロゴ(C)NHK
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 女優の清原果耶(19)がヒロインを務めたNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)の本編最終回(第120話)が10月29日に放送され、平均世帯視聴率は16・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことが1日、分かった。番組最高は初回(5月17日)の19・2%で、前作「おちょやん」に続いて大台20%には一度も届かず。全120話の期間平均は16・3%で、「おちょやん」の17・4%を下回った。リアルタイムの世帯視聴率は苦戦したものの、SNS上の反響は大きく、同時・見逃し配信サービス「NHKプラス」による視聴は昨年4月のサービス開始以降、朝ドラ歴代最高をマーク。NHKは「これまでの連続テレビ小説にはない形で、NHKのデジタルサービスも含め『広く、そして深く』見ていただきました」と総括した。

 同局の発表によると、NHKプラスのサービス開始以来、最も多く見られた朝ドラに。「百音(清原)と菅波(坂口健太郎)の気持ちが通じ合う」第80話(9月3日放送)が、歴代朝ドラのうち最も多く見られたエピソードとなった(同時と見逃し配信7日間)(10月28日現在)。

 NHKオンデマンドも第80話が今年度に有料配信したNHKの全番組のうち、最多視聴数を獲得(10月28日現在)。SNS上の盛り上がりに伴い「おかえりモネ」を初回から見るため加入者が増加した。

 朝ドラ通算104作目。清原とタッグを組んだNHK「透明なゆりかご」などやテレビ東京「きのう何食べた?」などで知られる安達氏が手掛けたオリジナル作品。朝ドラ脚本初挑戦となった。タイトルにある「モネ」は主人公・永浦百音(ももね)の愛称。1995年に宮城県気仙沼市に生まれ、森の町・登米(とめ)で青春を送るヒロイン・百音が気象予報士の資格を取得し、上京。積み重ねた経験や身につけた技術を生かし、故郷の役に立ちたいと奮闘する姿を描いた。

 2作連続して大台超えがなかったのは2008年後期「だんだん」(番組最高18・7%)→09年前期「つばさ」(番組最高17・7%)以来12年ぶり。期間平均17%を割ったのは09年後期「ウェルかめ」の13・5%以来、約12年ぶりとなった。

 初回19・2%と好発進したが、「地味」「暗い」「朝ドラ向きじゃない」などの声もあり、徐々に数字を落とし、中盤以降は15~16%台で推移。しかし、SNS上の反響は大きく、関連ワードが連日、ツイッターのトレンド入りを果たした。俳優の坂口健太郎(30)が好演した医師・菅波についてつぶやく際のハッシュタグ「#俺たちの菅波」が自然発生。百音、菅波、未知(蒔田彩珠)、亮(永瀬廉)の“四角関係”を描き始めた第15週「百音と未知」(8月23~27日)から一層、盛り上がった。データ分析会社「CINC(シンク)」(東京都港区)の調査によると、「#俺たちの菅波」の出現数は7月度=5830、8月=6万3790、9月=19万170と飛躍的に増えた。

 脚本の安達氏が東日本大震災を背景に「人の痛み」と誠実に向き合い、見る者の心を静かに突き動かし続けた。「当事者と第三者」「土地を離れるか、離れないか」「若き者たちへのエール」など、今作には多様なテーマがあったが、通奏低音となったのが「痛み」。「生きてきて、何もなかった人なんていないでしょ。何かしらの痛みはあるでしょ」――。百音の同僚の気象予報士・内田(清水尋也)の言葉(第78話、9月1日)に象徴されるように、登場人物それぞれが抱える「痛み」と「葛藤」を時に残酷なまでに、そして、その「救い」と「再生」を背中をさするように“手当て”しながら、安達氏が丹念に紡ぎ上げた。

 現代を舞台にした物語は最終回(第120話)で2020年2月に進み、残り3話となった第117話(10月26日)。新型コロナウイルスと明言こそしていないものの、感染症のため、呼吸器専門の菅波が急きょ気仙沼から東京に呼び戻され、現実のコロナ禍とリンク。最終回、数年後の後、2年半ぶりに百音と再会を果たした。

 残り2話となった第118話(10月27日)。未知が震災の日から抱え、誰にも言えなかった自責の念を姉に吐露。最後まで“容赦”ない作劇が続き、最終回は「綺麗事」発言により百音と一時ぎくしゃくした亮が「おかえり、モネ」と“タイトル回収”。希望あふれるフィナーレとなった。

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