茂木健一郎氏、日本のお笑い界に再び警鐘 「美学という井戸の中にこもっていて」

[ 2021年2月5日 16:43 ]

脳科学者の茂木健一郎氏
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 脳科学者の茂木健一郎氏(58)が5日、自身のブログを更新し、日本のお笑い界に再び苦言を呈す場面があった。

 茂木氏は約4年前に「トランプやバノンは無茶苦茶だが、SNLを始めとするレイトショーでコメディアンたちが徹底抗戦し、視聴者数もうなぎのぼりの様子に胸が熱くなる。一方、日本のお笑い芸人たちは、上下関係や空気を読んだ笑いに終止し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無。後者が支配する地上波テレビはオワコン」とツイート。この投稿が波紋を呼び、様々な意見が出る中で、お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(57)から「全然腹が立たなかった。茂木さんが面白くないから刺さらない」と一蹴された。

 その後、茂木氏はフジテレビ「ワイドナショー」に出演し、「オワコン発言」の真意について「もともと日本のお笑いが大好き。日本のお笑い界へのエールや応援のつもりで言った」と釈明し、騒動となったことを謝罪。松本からの異論に対しても「日本のお笑い芸人さんの技術やファッションについて尊敬している」とし「今回は誤解を受けてしまった。以後気を付けます」と反省の言葉を口にしていた。

 茂木氏は、当時の投稿をリツイートしたうえで「今回は、何があってもあやまろうとは思わない。時代が変わった。特に若い世代の地上波テレビ離れが深刻になった。ネットフリックスやアマゾンプライム、そしてもちろんユーチューブなどで海外のコメディアンの仕事も簡単に見られるようになった」と持論を展開。「こんな中、日本のお笑い芸人さんがその『美学』という井戸の中にこもっていて、先輩後輩の沼につかっているのは機会損失であるだけでなく大きなリスクだと思う」と警鐘を鳴らした。

 「M-1もR-1もいいけど、スタンダップコメディ大会をゴールデンにやったらどうか。もちろん社会ネタ、バンバンで。コメディの目的は社会批評ではない。笑うことだから。そして、日本人は、もっと広々としたネタで笑って、こころをほぐせるはずだ。何かが変わると思う」と続ける茂木氏。

 「お笑い界だけでなく、日本の社会自体が。なによりも、私たちの一人ひとりが。風通しが良くなり、ひろびろとした世界が見えてくるだろう。マーケットも広くなる。ゴールデングローブやエミー、アカデミー、バフタも夢ではない。人間が素敵なかたちで変わるだろう。お笑い芸人も、コメディアンも、一般の人も。だから、ぼくは、前は松本人志さんに謝ったけれども、今回は謝らない」と結んだ。

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2021年2月5日のニュース