なかにし礼さん&弘田三枝子さん追悼アルバム発売へ レコード会社が遺志継ぎ完成

[ 2021年2月5日 05:31 ]

昨年死去した、なかにし礼さん
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 昨年死去した作詞家のなかにし礼さん(享年82)と歌手弘田三枝子さん(享年73)の2人を追悼するアルバムが24日に発売されることになった。全タッグ作を収録する「弘田三枝子 なかにし礼をうたう~人形の家~」。なかにしさんが弘田さんの追悼盤として企画していたものを、レコード会社の担当者が遺志を継いで完成させた。未発表曲も収められる。

 アルバム制作のきっかけは、弘田さんが亡くなった翌月の昨年8月、BSテレ東で放送された追悼番組だった。なかにしさんは自身が作詞した「人形の家」を歌う生前の弘田さんを見て、改めて才能にほれ直したという。放送翌日、親しい日本コロムビアの植村健さん(50)に電話し、追悼盤を企画発案した。

 「やはり『人形の家』は名作だと思う。ミコ(弘田さん)にはそれ以外にもアルバム1枚くらいは出せる数の楽曲は書いているはずなので、整理してみてほしい。数があれば『弘田三枝子 なかにし礼をうたう』みたいな企画もできるのではないかな」

 この連絡を受け、同社の記録保管室などを整理しているうちに倉庫で見つかったのが、未発表曲「裁かれる女」のマスターテープだった。70年7月に弘田さんがレコーディングし、原因が分からぬままお蔵入りになっていた歌。♪うわさに追われて 街から街を行く 死ぬことすらできない 迷える私…と、愛破れた女性の怨念を歌っている。

 この未発表曲を含め、なかにしさんと弘田さんのタッグ作は全15曲に上った。植村さんが昨年9月、なかにしさんに電話で報告すると「よかったじゃないか。アルバムできそうだね」と喜んだという。「裁かれる女」の存在は50年を経て覚えていなかったようだ。その後、制作が開始され、植村さんが昨年12月上旬、途中経過の報告も兼ねて電話をしたが、つながらなかった。なかにしさんは11月中旬から入院中で、そのままアルバムの制作状況を知ることなく、同12月23日に心筋梗塞のため亡くなった。

 植村さんは「(昨年9月の)最後のやりとりを思い返し、先生の最後の企画をしっかりと形にしてご報告しなければならない」と、遺志を受けて完成させた。5日は弘田さんの誕生日。予期せぬ形で2人の追悼盤となってしまったが「天国で2人で喜んでくださっていると思います」と思いをはせた。

 ≪サブタイトルは“出世作”から≫サブタイトルになっている「人形の家」は69年、弘田さんがそれまでの幼い「パンチのミコちゃん」から大人の女性シンガーへとイメージチェンジを遂げる“出世作”となった。弘田さんはこの歌のレコーディング時に初対面したなかにしさんから「ミコ、おまえはこれで女になる」と言われたという。弘田さんは発売から40年以上がたっても「今でも歌手を続けられるのは、この作品と出合えたから」と感謝していた。

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