伊藤博文七段 今泉四段に敗れて現役引退決定「楽しい人生が送れたかな」

[ 2020年5月26日 16:17 ]

現役引退が決まった伊藤博文七段(代表撮影:日本将棋連盟)
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 将棋の伊藤博文七段(60)が26日、大阪・関西将棋会館での第33期竜王戦昇級者決定戦で今泉健司四段(46)に敗れ、36年近い現役生活からの引退が決まった。お互い振り飛車党同士の対局は相中飛車へ。後手の伊藤が1筋から銀を繰り出し、積極的な端攻めを見せたが攻め急いで誤り、今泉の逆襲を食らった。「作戦的には成功したと思ったがポカがあったのかな。若い頃、丁寧に指せば良かったと思ったが、きょうもそうなってしまった」。ベテランはらしからぬ若さあふれる指し回しに苦笑いした。

 1984年、プロとなる四段に昇段したがまだ30代の99年にC級2組順位戦からフリークラスへ陥落した。棋界にある鉄の掟、それがフリークラス編入後10年以内に規定の成績を収めてC級2組へ復帰しなければ引退。

 「40過ぎで引退かなと思った」。以来棋士仲間との練習将棋を増やして01年、史上初めてのC級2組への復帰を果たした。「それから18年あまり現役が伸びた。その分楽しい人生が送れたかなと思う」と当時を振り返った。

 今後は、弟子の活躍を見守るのが楽しみという。その一人、女性初の棋士を目指す西山朋佳三段(24)はコロナ禍で遅れる第67回三段リーグの開幕を待つ。全18回戦で争った前回は、最終日にプロ入りの可能性があったが14勝4敗で昇級2枠に残れず3位。ただ、次点となったことで、今回は31人中2位までなら文句なし、再度次点をとってもフリークラス入りできる。「まだまだ楽しみはある。応援したいと思う」。棋士としての夢は愛弟子が受け継いでくれるはずだ。

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2020年5月26日のニュース