戸郷ノーノー 巨人エースの系譜「全部の話が深すぎる」“師匠”菅野の背中を追いかけて

[ 2024年5月25日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人1-0阪神 ( 2024年5月24日    甲子園 )

<神・巨>ノーヒットノーランを達成して笑顔の戸郷(撮影・大森 寛明)
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 今季両リーグ初の無安打無得点試合を達成した巨人・戸郷翔征投手(24)。ポストシーズンも含めるとチームではヤクルトと争った18年10月14日のCSファーストS第2戦での菅野智之投手(34)以来だった。過去2年連続で12勝を挙げ、今季は初の開幕投手を務めるなど着実にエースへの道を歩む右腕は、伝統球団を支える背番号18の背中を追い続けている。

 最高の教材が目の前にいる。相手エースとの投げ合いが多い金曜日に投げる戸郷は「1、2点、取られたら有利な試合展開は望めない。難しいし、同じ立場に立っているという感じは全くしない」と菅野の凄みを改めて実感していると明かす。

 「全部の話が深すぎる」と尊敬する右腕との話は、グラウンド外にも及ぶ。4月は前日に菅野が投げるローテーション。試合をチェックし「要所、要所で凄い勉強になる。“ここは四球を出していい”とか(投球の意図が)テレビからも伝わってくる」。疑問に思った部分は翌日にすぐ質問。「最近はサウナに一緒に入ったりして話をする」と明かす。

 調整法も学んだ。4月12日の広島戦では5回4失点で降板するなど、開幕序盤は状態が上がらなかった。指摘されたのはブルペンで最初に投げるコース。それまでは右打者の外角から投げ始めていたが「(戸郷の投げ方は)そこに投げるのは簡単。こっち(内角)のラインを出すのが難しくなっているだろ?」と言われ、内角から投球練習を開始した。すると左肩の入り込む癖がなくなり「ボールも伸び出して一瞬で良くなった」と感謝する。

 菅野は2年目で先発ローテーションを守った戸郷に「20歳だと思うな。他とは違うんだからもっと自覚を持って」と以前から一目置いていた。エースになれると認めているからこそ「まだ何も成し遂げていない。ジャイアンツのエースは12球団で一番良い投手じゃないといけない。そこを目指してほしい」と期待する。ポストシーズンを含めれば球団では菅野以来の無安打無得点試合。師匠の背中に、また一歩近づいた。(小野寺 大)


 ≪ノーノーデータ≫☆G13人目の快挙 戸郷(巨)が昨年9月9日ロッテ戦の山本由伸(オ)以来のノーヒットノーランを達成した。プロ野球89人目、101度目。巨人では18年7月27日中日戦の山口俊以来13人目、17度目になった。

 ☆虎相手は87年ぶり 巨人で対阪神戦のノーヒットノーランは、沢村栄治が36年9月25日(甲子園)、37年5月1日(洲崎)に2度マークして以来87年ぶり2人目。甲子園では36年沢村以来だ。

 ☆最少得点を守り切って スコア1―0での達成は、04年10月4日広島戦の井川慶(神)以来21人目、22度目。チームでは前記の36年沢村、39年11月3日セネタース戦の中尾輝三に次ぎ85年ぶり3人目。

 ☆24歳1カ月 同年齢以下での達成は、22年6月18日西武戦の山本(オ=23歳10カ月)以来で、巨人では67年10月10日広島戦の堀内恒夫(19歳8カ月)以来。

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