九州学院・村上慶太 “兄超え”甲子園1勝「率直にうれしい」 偉大な兄・宗隆の激励に「勝利で恩返し」

第104回全国高校野球選手権第8日・2回戦   九州学院14―4帝京五 （ 2022年8月13日    甲子園 ）

＜九州学院・帝京五＞6回、三塁打を放つ九州学院・村上慶（撮影・藤山　由理）
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　2回戦4試合が行われ、大会開幕前に新型コロナウイルスの集団感染と判断された有田工、浜田、九州学院、帝京五が登場。九州学院はヤクルト・村上を兄に持つ4番・村上慶太内野手（3年）の長打2本などで17年ぶりとなる先発全員マルチ安打を記録し、帝京五に14―4で大勝した。

　九州学院が先発全員複数安打で19安打14得点の猛攻を見せ、12年ぶりの夏勝利を挙げた。主砲・村上慶はガッツポーズし「率直に1勝できてうれしい気持ちです」。偉大なOB、兄・宗隆（ヤクルト）は1年時に出場も初戦で敗退。兄を超える進撃に笑みを浮かべた。

　4点リードの6回。1死から変化球を捉え右翼線へ三塁打。「何としてもヒット1本出しておきたい気持ちで打席に入りました」と話した。この一打から一挙4点を挙げ突き放した。8回には左翼フェンス直撃の二塁打を放ち2安打。「レフトにいいボールを打ちましたけど、ホームランにできるようにしていきたい」。身長1メートル90は、兄より2センチ大きい。DeNAの進藤達哉編成部長は「サイズがあって、スケールの大きさを感じさせる打者」と目を見張った。

　熊本大会では準決勝まで打点なし。決勝で先制の適時打を放ったが18打数4安打、打率・222と苦しんだ。「フルスイングができていなかった」と反省し練習。その成果を甲子園で発揮した。平井誠也監督は「最後のバッティングを継続していけばまた、良くなっていくと思います」と期待した。

　前日には兄から「甲子園は最高の場所やし、楽しんでこいよ」とLINEが届いた。出場が決まるとバット10本と、兄の背番号「55」が右袖にプリントされたTシャツが約90枚届いた。村上慶は「ありがたいです。しっかり勝利という恩返しできるように」と力を込めた。

　兄の凄さも感じた。この試合の観衆は2万8000人。「初めて大勢の中でプレーをしたので、プロ野球はあれが毎日だと思ったらもの凄い職業」と目を輝かせた。チームは新型コロナウイルスの集団感染と判断され、初戦が第8日になる特例措置がとられた。平井監督は「試合ができたのはまず喜び」と感謝した。

　次戦は昨年覇者・智弁和歌山を破った国学院栃木。村上慶は「チームとしてもとてもいい状態なので、次も自分たちのバッティングで勝っていきたいと思います」と誓った。（杉浦　友樹）

　◇村上　慶太（むらかみ・けいた）2004年（平16）11月11日生まれ、熊本市出身の17歳。託麻南小4から軟式野球を始める。中学時代は熊本東リトルシニアに在籍。高校では1年秋からベンチ入りした。高校通算本塁打は6本。50メートル走6秒24。遠投96メートル。超えたい選手は兄のヤクルト・村上。憧れの選手はエンゼルス・大谷。好きな有名人は女優のチョン・ジョンソ。1メートル90、94キロ。右投げ左打ち。

　▽九州学院時代のヤクルト村上の甲子園　15年夏に出場し、初戦となる2回戦で遊学館（石川）と対戦。1年生ながら「4番・一塁」で出場したが、4打数無安打で守備でも2失策し、3―5で初戦敗退した。高校時代の甲子園出場はこの1度だけ。

　《先発全員複数安打》九州学院は帝京五戦で先発全員が複数安打を記録。先発全員複数安打は05年1回戦で酒田南（山形）が姫路工（兵庫）戦で記録して以来17年ぶり。

　《2年生渡辺5打点》7番の2年生捕手、渡辺拓馬が2安打5打点と躍動した。初回2死一、二塁で右翼線に2点二塁打。カーブを捉え「練習から変化球を逆方向に打っていた。イメージ通り」とうなずいた。7回にも2点適時打など勝負強さを発揮。「同じ2年生の直江が先発だったので、楽に投げさせたかった」。守っても3投手をもり立てた。