「新世界」の国学院栃木 「ジョックロック」の智弁和歌山に3度目対決でリベンジ成功

第104回全国高校野球選手権大会・2回戦   国学院栃木5－3智弁和歌山 （ 2022年8月13日    甲子園 ）

＜国学院栃木・智弁和歌山＞智弁和歌山を破り、笑顔で校歌斉唱する国学院栃木ナイン（撮影・佐久間　琴子）
Photo By スポニチ

　2回戦4試合が13日に行われ、国学院栃木は長田悠也内野手（2年）の4安打3打点の活躍などで、昨年大会覇者の智弁和歌山を5―3で下した。長田は初戦から7打数連続安打を継続中で、大会記録にあと1と迫った。開幕前に新型コロナウイルスの集団感染と判断された有田工（佐賀）、浜田（島根）、九州学院（熊本）、帝京五（愛媛）も登場し、これで全49代表校が初戦を終えた。

　反撃を期待するジョックロックが銀傘に響くも、打球は力なく上がった。ウイニングボールをつかんだのは遊撃手・長田。昨夏王者を下した喜びをガッツポーズとジャンプで表現。この男のバットが金星を生んだ。

　「相手が強かったので挑戦者の気持ちを忘れずに、強く振ることだけを意識して打席に入りました」

　2年生ながらプロが注目する1メートル82の大型遊撃手。相手のプロ注目右腕・武元を相手に猛打を見せた。初回2死満塁で143キロ直球を引っ張り左前へ先制2点打。6回に逆転を許すも、その裏に3―3と追い付きなお無死一、三塁。今度はスライダーを左中間へ適時二塁打し勝ち越した。4打数4安打3打点で、1回戦の日大三島（静岡）戦の2打席目から7打数連続安打。春夏ともに甲子園記録で過去10人いる8打数連続安打に迫り、今大会打率・875とした。

　名曲が選手を後押しした。今大会から吹奏楽部の曲目に加わったドボルザークの交響曲第9番「新世界より」第4楽章は、球界では珍しい選曲が話題に。開幕1週間前に「何でもいいので曲を増やしてほしい」と野球部からリクエスト。9月の文化祭で披露予定だった曲を先出しした。荘厳なクラシック曲はインパクト十分で、6回の反撃開始時にも流れた。魔曲・ジョックロックも圧倒した。

　智弁和歌山は今年5月の近畿大会決勝で、今大会優勝候補筆頭の大阪桐蔭に現世代で唯一の公式戦黒星をつけたチーム。柄目（つかのめ）直人監督は00年選抜は選手として、18年は監督として智弁和歌山に敗れていた。三度目の正直で勝利し、「うちの選手は流れに乗るのがうまい。学校としてリベンジすることができた」と感無量の様子だった。初戦の夏初勝利に続く快進撃で、長田の連続打数安打は継続中。次戦で2打数連続安打を放てば、その記録はチームの夏勝利数と同じく「新世界」に突入する。（柳内　遼平）

　◇長田　悠也（ながた・ゆうや）2006年（平18）2月22日生まれ、茨城県出身の16歳。小1年から桜南並木野球スポーツ少年団で野球を始める。並木中ではつくばヤングベースボールクラブに所属。国学院栃木では1年秋からベンチ入り。50メートル走6秒4。遠投120メートル。好きな言葉は「継続は力なり」。1メートル82、81キロ。右投げ右打ち。