【プロ野球・球宴名場面(2)】赤ヘル燃ゆ 奇跡への序章 浩二、衣笠のアベック弾

[ 2022年7月25日 17:05 ]

「赤ヘル」が躍った!1975年7月19日、山本浩二とアベック本塁打を放った衣笠(右)
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 2リーグ分立翌年の1951年にセ・リーグとパ・リーグの対抗方式で産声を上げ、今年で72回目を数えるプロ野球「マイナビオールスターゲーム2022」が7月26日(福岡PayPayドーム)27日(松山・坊ちゃんスタジアム)に開催される。昭和から平成、令和…巨星たちが数多の名勝負を繰り広げてきた真夏の球宴。野球ファンの記憶に刻まれた名場面ベスト10(スポニチ選定)を紹介する。(所属、球団名、登録名、球場名は当時)

 ■1975年第1戦=7月19日

 あの悲惨な終戦から30年。球団創設26年目・広島球団の歴史を変えた球宴がある。

 甲子園で行われた第1戦。全セのスタメンに3人のカープ戦士が名を連ねた。3番・中堅に山本浩二。4番の王貞治(巨人)と5番・田淵幸一(阪神)を挟んで6番・三塁には衣笠祥雄が入った。8番・二塁で大下剛史。3選手ともファン投票1位での選出。広島ファンにとっては夢の様な全セオーダーだった。

 初回無死三塁。山本浩が打席に入る。全パ先発、太田幸司(近鉄)の直球を左翼へ運んだ。2死後、衣笠が会心の一撃。勢いよく三塁を回ると、この年から監督に就任した巨人・長嶋茂雄「全セコーチ」にハイタッチで出迎えられた。2回にも山本浩は山田久志(阪急)のカーブをジャストミート。左中間へ2打席連続となる3ラン。3回、衣笠も続く。同じ山田から2打席連続のアベックとなるソロを叩き込んだ。ダイヤモンドを駆け回る赤いヘルメットの男たちに全国のファンの目は釘付けになった。

 山本浩は試合前、法大時代の盟友、田淵にいった。「今年は引け目を感じず胸を張って出られるよ」。前年はファン投票1位選出ながらチームは首位に8・5差をつけられ最下位争い、肩身が狭かった。だかこの年は首位に1・5差の3位。山本浩は打撃ベストテン3位、衣笠は5位と堂々の出場である。山本浩はMVP。衣笠は優秀選手賞にも選出されなかったが手元には「自信」が残った。

 「翌日の新聞に初めて“赤ヘル軍団”という見出しが躍った。これがチームを後押ししてくれたような気がする」(スポニチ本紙「我が道」衣笠談)。勢いに乗った広島は、球団創設以来、悲願のリーグ優勝を果たした。

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