鈴木啓示氏 夢を感じさせる継投 阪神・浜地、湯浅、岩崎で無失点リレー 接戦でも臆さずに

[ 2022年7月25日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神1―0DeNA ( 2022年7月24日    甲子園 )

鈴木啓示氏
Photo By スポニチ

 【鈴木啓示 視点】夢を感じさせる継投だった。1点差でも思い切りがいい。決して臆してはいない。浜地と湯浅が若さを前面に出し、岩崎は修羅場をくぐり抜けてきた経験を発揮した。感じたのは3人に対するベンチの信頼だ。「大丈夫かな」とは全く思っていない。信頼して送り出し、選手がそれに応える。最大借金16を完済する過程で、強力な関係が構築されていた。

 思えば、開幕当初は継投が思うように機能せずに苦しんだ。「今年はもう終わった」の声もあった。阪神のブルペンにはどん底からはい上がってきた強さを感じる。そして浜地も湯浅も長い故障との闘いを克服したからこそ、今がある。7回の代打・山下との16球勝負で見せた浜地の一歩も引かない姿勢が象徴的だった。球に力があるから、変化球も効果的に使える。1点差のプレッシャーをみじんも感じさせない継投だった。

 5割復帰を果たしたのも、このブルペンがあったからこそ。他球団にない阪神の強力な武器だ。3人に加えてアルカンタラがいて、ケラーもコロナ感染から復帰するはず。首脳陣もよく持ち直して、ここまでそろえたと思う。敬服するしかない。

 前半戦を振り返ると、巨人の低空飛行が目立つ。投手陣も打線も良くない。4点台の防御率が示すように、勝ちパターンの継投も確立していない。中日も大野雄を白星先行させることができない打線がネックになっている。DeNAの攻撃陣は魅力だが、この阪神戦で分かるように波がある。

 投打のバランスが取れ、昨年の優勝経験を自信にしているヤクルトを、阪神と広島が追いかける構図になってくると思う。そして現状で戦力が安定しているのは阪神。小技と足を絡ませ、しつこく点を取る野球に徹すれば、投手陣がより生きる。ペナントレースは追う側の方が勢いづきやすい。ヤクルトにプレッシャーを感じさせたら、展開は面白くなる。(スポニチ本紙評論家)

続きを表示

2022年7月25日のニュース