エンゼルス・大谷 20号も空砲5連敗…トレード期限前に打診殺到もオーナー難色

[ 2022年7月25日 02:30 ]

インターリーグ   エンゼルス2―7ブレーブス ( 2022年7月23日    アトランタ )

<ブレーブス・エンゼルス>5回、20号ソロを放った大谷はナインとハイタッチをかわす(撮影・大森 寛明)
Photo By スポニチ

 どうなる大谷――。大リーグ公式サイトは23日(日本時間24日)、トレード期限となる東部時間8月2日午後6時(日本時間3日午前7時)までにエンゼルスが大谷翔平投手(28)を「放出する考えはない」としていると報じた。記事では複数球団のトレード打診に、エ軍が応じていないと説明。ブレーブス戦で2年連続の20号本塁打を放つなど、獅子奮迅の「二刀流」を巡る注目度は、高まる一方だ。

 弾丸ライナーが、右翼席最前列に突き刺さった。1―7の5回1死走者なし。大谷が右腕ライトの外角チェンジアップを、バットのヘッドを遅らせ気味に捉えた。打球角度22度の低空弾は、瞬く間にスタンドに消えた。

 日本選手では09、10年の松井秀喜(ヤンキース)以来2人目となる2年連続20本塁打。節目の一発も空砲となった。エ軍は5連敗で、今季ワーストの借金16。大谷本塁打試合は6連敗で、カスティーヨ(パイレーツ)らと並び今季メジャーワースト記録となった。

 地区4位と低迷し、8年ぶりのポストシーズン(PS)進出は絶望的。あと10日に迫ったトレード期限を前に、試合前には注目のニュースが駆け巡った。大リーグ専門局「MLBネットワーク」の看板記者ジョン・モロシ氏が、ツイッターで「複数球団が大谷のトレードを打診も、エ軍はトレード期限までに放出するつもりはない」と投稿。さらに「ザ・スポーティングニューズ」は大谷獲得を狙う球団としてヤンキース、メッツ、ドジャース、パドレスを列挙した。ヤ軍はソト(ナショナルズ)獲得も噂され、左の強打者狙いなのは間違いない。

 球宴前日の18日、大谷は「僕はノータッチ。完全に代理人に任せている。シーズンはシーズンで集中したい」と自然体を強調した。だが、23年オフのFA前のトレード実現なら、エ軍は見返りに有望株5選手以上が期待でき、利点は大きい。8月の期限までにトレード実現がなくとも、今オフの再燃は必至だ。

 複数の関係者は、トレードに最も難色を示しているのがアート・モレノ・オーナーだとした。球団は長期契約のトラウト、レンドンに大谷も加えてのチーム再建を諦めていないが、容易ではない。トレード期限までの一時的な「火消し」も、火種はくすぶり続ける。

 前日の登板では黒星。ベーブ・ルース以来104年ぶりの「2桁10勝&2桁本塁打」はお預けとなった。フィル・ネビン監督代行は、次回登板を28日(日本時間29日)の本拠地レンジャーズ戦と示唆。勝てばルースも経験がないメジャー史上初の「2桁勝利&20本塁打」達成となるが、活躍すればするほど「二刀流」の行方に関心が集まっていく。(柳原 直之)

 ≪自身3度目20号≫大谷が今季20本塁打に到達。メジャーでは18年(22本)21年(46本)に続き自身3度目となった。日本選手のシーズン20本塁打以上は大谷と松井秀喜のみで、松井は5度。2年連続20号到達も04~05年、09~10年の2度達成した松井以来2人目となった。

 ≪「放出すべき」異論も≫大リーグ公式サイト記者によるエ軍の「トレード否定」報道に、米メディアでは異論が噴出した。米テレビ局NBCのキャスターであるティム・オブライエン氏は「エンゼルスは悲惨な状況。トラウトがトレードを要求するのも時間の問題。大谷も期限内に放出するべきだ」と主張。それ以外にも「大谷とトラウトで勝てないエンゼルスに、本当に残るだろうか?」などエ軍に対する否定的な見方が相次いだ。

 ▽MLBのトレード期限 例年は7月31日に設定されていたが、今年はコロナ禍で開幕が遅れたため、米東部時間8月2日午後6時(日本時間3日午前7時)。プレーオフ進出が厳しい球団は来季に向けた戦いにシフトするために、若手有望株との交換で大物選手を放出する駆け込みトレードが相次ぐ。今年は大谷のほか、ナショナルズの主砲ソトの移籍報道が過熱している。以前は期限後もウエーバー手続きを経てトレードすることが可能で、大物選手の移籍の「抜け道」となっていたが、19年から禁止となった。

続きを表示

この記事のフォト

2022年7月25日のニュース