国学院栃木ノーシードから37年ぶり甲子園 前日160球のエース盛永100球粘投

[ 2022年7月25日 04:00 ]

第104回全国高校野球選手権栃木大会決勝   国学院栃木8―4宇都宮南 ( 2022年7月24日    栃木県総合運動公園 )

<国学院栃木・宇都宮南>甲子園出場を決め抱き合って喜ぶ国学院栃木ナイン(撮影・沢田 明徳)
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 第104回全国高校野球選手権大会(8月6日から17日間、甲子園)の出場を懸けた地方大会は24日、各地で決勝4試合を含む74試合が行われた。栃木大会の決勝ではノーシードから勝ち上がった国学院栃木が宇都宮南を下した85年以来、37年ぶり2度目の夏切符をゲット。前日160球を投じていたエースの盛永智也(2年)が先発して5回2/3を4失点と粘り、6回には決勝打も放った。

 160球を投げた疲労と緊張で、昨夜はなかなか眠れなかった。背番号1をつけるエース右腕の盛永は布団の中で目を閉じ、37年ぶりの甲子園出場が懸かる大一番へと思いをはせる。「こんなチャンスはない。絶対、逃せない…」。何とか寝付き、この日を迎えた。

 疲労は抜けない。だから調子も上がらない。それでも試合を壊さず、粘った。延長10回を投げ作新学院の11連覇を阻止した前日の準決勝から2連投となる先発で5回までに4失点。同点で迎えた6回攻撃で無死一塁で打席が回った。「自分が取られてしまったので絶対に還すという気持ちで打席に入った」。思いは実る。右越え二塁打で挙げた打点が決勝点となった。直後の6回途中で100球に達したため降板。5回2/3を12安打4失点だった。

 エースの力投にナインも応え、4点リードで9回へ。2死一、二塁では自ら伝令に走った。あとアウト一つ。マウンドを守れなかった悔しさもあり目は潤んだが「落ち着け。頼んだ」と震える声でナインに思いを伝えた。最後の打者が一飛に倒れると歓喜の輪へ。「作新学院を倒して甲子園に行きたい」との目標を掲げて入学した男は喜びを爆発させた。

 チーム史上2度目の聖地。全国大会常連のラグビー部は昨年度の花園で過去最高成績となる準優勝に輝いただけに負けていられない。これまで00年の選抜では4強まで進んだが夏は0勝。柄目(つかのめ)直人監督は「(盛永は)うれしさと悔しさが両方あると思う。彼も甲子園で成長するでしょう」と期待する。

 盛永は強く誓った。「県大会では(野手に)助けられてばかりだった。今度は自分が助ける投球をしたい」。小学生のころから夢に見た舞台。冬の花園ではなく真夏の甲子園で「コクトチ」の名を全国にとどろかせる。(田中 健人)

 ◇盛永 智也(もりなが・ともや)2005年(平17)8月1日生まれ、栃木県小山市出身の16歳。小山城南小1年時に小山城南クラブで野球を始める。小山城南中では軟式野球部に所属。国学院栃木では1年秋から背番号1でベンチ入り。50メートルは6秒5。1メートル80、80キロ。右投げ右打ち。

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