盛岡中央・斎藤響介が岩手の地に刻んだ650球 夏で評価急上昇 上位指名の可能性も

[ 2022年7月25日 21:29 ]

第104回全国高校野球選手権岩手大会決勝   盛岡中央2-3一関学院 ( 2022年7月25日    岩手県営野球場 )

一関学院との決勝後にキャッチボールをする斎藤(撮影・柳内 遼平)
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 盛岡中央が一関学院に惜敗。プロの評価も急上昇中の右腕・斎藤響介投手(3年)は8回3失点と力投も勝利につながらなかった。それでも今大会は全6試合に先発して計650球を投げるなどスタミナもアピール。悔しさはプロの舞台で晴らす。

 信じ抜いた直球は最後まで力強かった。2―3で迎えた8回2死。斎藤はこん身の147キロ直球で見逃し三振を奪った。味方の反撃を期待してベンチで声を張り上げたが9回攻撃は無得点で試合終了。東北の新怪物の夏が終わった。気丈に振る舞っていた右腕も試合終了のあいさつを終えると感情があふれる。涙が止まらなかった。

 「甲子園にいけなかった悔いはあるんですけど、ここまで勝ち上がってこれたことがうれしいです。盛岡中央に入ってよかった」

 ノーシードから決勝まで勝ち抜く代償は大きかった。準決勝までの5戦で527球を投じて中1日で先発。「1週間500球」の球数制限まで残り133球だった。それでも打たせて取るような投球はしない。直球狙いだった相手に真っ向勝負を敢行した。2、6回に浴びた計3本の適時打は全て直球。8回を123球の熱投で10三振も奪ったが9安打3失点で優勝を逃した。

 それでも「状態は悪くなかった」と完投できた。母・敏江さん(54)の献身があった。登板後には毎回、滝沢市の自宅から30分も車を走らせて整骨院で疲労回復のために酸素カプセルに入った。夏バテ防止のために登板の前夜は必ず牛タン。15日から3日続いた雨天順延の間も勝負飯は「連投」となり「スーパーから牛タンがなくならないか心配でした」と母はほほえんだ。

 今大会では盛岡市立との3回戦で9イニングの大会2位タイ記録となる1試合19奪三振を樹立し、自己最速を3キロも更新する152キロを記録。そして準決勝では強豪・花巻東に完投勝利を挙げた。決勝でも7回にこの日最速タイの148キロを叩き出す無尽蔵のスタミナを見せた。春はドラフトの支配下指名の境界線にいた男はこの夏で「世代最高の速球派」の地位に君臨。上位指名の可能性も浮上した。

 試合後には進路について「これから長く考えて決めていきたい」と慎重な考えを示した。岩手が生んだ「新怪腕・響介」。この夏に刻んだ650球が彼をそう呼ばせた。(柳内 遼平)

 ◇斎藤 響介(さいとう・きょうすけ)2004年(平16)11月18日生まれ、岩手県滝沢市出身の17歳。小3から竹の子スポーツ少年団で野球を始め、滝沢中では軟式野球部に所属。盛岡中央では1年夏からベンチ入りし、2年夏から背番号1。憧れの選手はオリックス・山本。50メートル走6秒5。遠投105メートル。1メートル77、72キロ。右投げ右打ち。

 ▼巨人 円谷英俊スカウト 疲労がある中でこれだけ投げた。高めの真っすぐに威力がある。自分に合った投げ方ができているので、ずっと同じように投げることができる。130キロ後半で鋭く曲がるカットボールも素晴らしい。フォーク系の球も上手く使っていた。

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2022年7月25日のニュース