OB戦で5年ぶりマウンド 黒田博樹氏がカープにエール 「一体感で戦って」 世評覆した16年再現だ

[ 2022年3月22日 05:30 ]

<カープレジェンドゲーム2022>ヒロシマチーム・先発の黒田博樹(撮影・後藤 大輝)
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 広島カープのOB紅白戦「カープレジェンドゲーム」が21日、広島市南区のマツダスタジアムであり、一時代を築いた懐かしの35人が参戦した。黒田博樹氏(47)は5年5カ月ぶりに思い出のマウンドに立ち、新井貴浩氏(45=スポニチ本紙評論家)との盟友ガチンコ対決で熱投。今季のカープには、投手陣と若手野手の成長を見て取り「期待している」とエールを送った。

 現役時代をほうふつさせた。ツーシームで内角を突き、カウント2―2から決め球は外角低めのフォーク。新井氏の放ったライナーが中堅手のグラブに収まると、懐かしの縦じまユニホームに身を包んだ黒田氏は両腕を振り上げて喜んだ。

 「思ったよりも完璧に捉えられたので、ちょっとショック。現役時代以上に、しっかり踏み込んでいた。今日初めてバットを握った新井に、あんないい当たりをされるとは思いませんでした」

 ジョークか本音か。2016年に25年ぶりの歓喜を呼んだレジェンド2人による1打席限りの真剣勝負。「彼を打ち取るためだけにトレーニングを積んできた」と言うだけに、盟友をいじりつつ不本意感をにじませる。口元は、しかし、笑みが浮かんでいた。

 「いい対戦ができて良かった。引退して5年になりますが、これだけ多くのファンの前で、こういう景色を見られたのは幸せです」

 スタンドには、レジェンドたちのプレーをひと目見ようと、1万6000人の観衆。声援を受けながら、自身のプレーを喜んでもらう。日本シリーズに出場した16年10月以来、5年5カ月ぶりに立ったマウンドで現役時代と同じ光景に触れ、感慨ひとしおだった。

 黒田氏は今季のカープにも言及した。

 「誠也は抜けましたけど、戦力的に投手陣はしっかりしていますし、打線にも若い選手が出てきた。凄く期待しています」

 侍ジャパンの4番を務めた主砲がメジャーへ移籍し、ネット裏の下馬評は総じて高くない。それでも投手陣には大瀬良、森下、九里の先発三本柱に、昨季新人王の守護神・栗林がいる。打線では坂倉や小園が主力として台頭。そこに同氏は希望の光を感じ取る。

 「チーム一丸となって戦ってほしい。佐々岡監督の言う、一体感を持って戦ってほしいと思います」

 劣勢とみられたチームが世評を覆した例はあまたある。キーワードは一体感。自身も16年に体験したレジェンドは、後輩たちにそうエールを送った。(江尾 卓也)

 【誠也を「応援」】黒田氏はカブス入団が決まった鈴木にも言及し「野球と向き合い、あれだけの契約を勝ち取ったわけなので、凄く良かったと思う。大変なこともあると思うけど、いちファンとして、一緒に戦った仲間として応援させてもらう」とエールを送った。同氏が15年に広島に復帰した際、「トラウト(エンゼルス)のような選手になれ」とハッパを掛けたことに端を発し、実現した鈴木の移籍。メジャーの先輩として「(開幕まで)期間が短いので、投手とのアジャストは難しいと思うけど、それ以外の部分は心配していない。それだけの(強い)気持ちで米国へ行ったと思うので」とし、今後の活躍に期待した。

 【北別府氏の無念とともに】レジェンドゲーム参加選手を紹介する際、黒田氏は北別府学氏の背番号「20」のユニホームを手に持ち、スタンドのファンに示した。参加を熱望しながら闘病中のため断念したレジェンド。「ご本人は来たかったと思う。レジェンドの皆さんで、メッセージを送れたらという気持ちでした」。発案者の黒田氏は、北別府氏の無念さを思い、1日も早い完治を祈っていた。

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2022年3月22日のニュース