21世紀枠の只見、善戦及ばず初戦敗退も 聖地でみせた13人の一丸野球と満開の笑顔

[ 2022年3月22日 20:19 ]

第94回選抜高校野球大会第4日第3試合 1回戦   只見1─6大垣日大 ( 2022年3月22日    甲子園 )

<只見・大垣日大>4回 2死一、三塁 右前適時打を放つ只見・山内友(撮影・成瀬 徹) 
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 第94回選抜高校野球大会第4日は22日、阪神甲子園球場で1回戦が行われた。第3試合では初出場の只見(福島)は11年ぶり4回目出場の大垣日大(岐阜)に1─6で敗れた。

 天候不良で試合開始を遅らせた上、第2試合の星稜(石川)─天理(奈良)戦が延長11回の熱戦。試合開始はさらに遅れ、午後6時26分開始となった。大会本部によると、試合開始時刻が確認できる第50回大会以降、最も遅い試合開始時刻は第64回大会の佐賀商―東農大二(群馬)の午後6時17分で、これを9分更新した。

 そんな難しい試合。2回に先制を許したが、ナインは好プレーに笑顔を見せ、最後まで下を向かなかった。2点を追う4回には、2死一、三塁から山内友斗(3年)が右前に運んだ。この試合のチーム初安打が反撃の1点となった。最後は突き放されたが、聖地でのプレーを全身で味わった。

 奥会津に位置する只見町は、生活に支障が出る「特別豪雪地帯」に指定されている。今年は例年以上の積雪に苦しんだ。現在も、学校のグラウンドは雪に覆われたまま。工夫を凝らして練習を続けてきた。「土のグラウンドで練習できなくても、秋までの課題をこの時期に修正できる」と吉津主将。雪上ランニングで下半身を強化したほか、課題の打撃は屋内駐輪場でのトス打撃を駆使し、芯で捉える感覚を養ってきた。

 2月以降は土のグラウンドで実戦形式の練習を再開。只見町からバスで片道4時間かけて移動し、楢葉町内の球場でシートノックやフリー打撃を行ってきた。町内では多くの建物の外壁に、甲子園出場を祝う横断幕。練習先の球場ではバックスクリーンに「祝 甲子園出場」と映し出された。2月4日に始めたクラウドファンディングでは県外からも寄付が集まり、約2週間で目標金額の500万円に到達。支援の輪は全国に広がった。

 そんな地元の、全国の支援に感謝しながら聖地で戦い抜いた。勝利は手にはできなかったが、13人の選手たち全員が出場した。「只見らしい野球がしたい」との思いは果たせたはずだ。

 ▼長谷川監督 五島君のストレートに最後まで対応ができませんでした。ストレートかスライダー、どちらかに絞れと言ったが、低めのスライダーに手を出してしまった。ウチの試合としてはこの試合がベストゲームでした。今までも全員で戦ってきましたので、試合前から13人出したいと思っていました。

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