金光大阪 悲願の聖地初星! 元中日・吉見先輩の初出場から20年 エース古川が138球の熱投

[ 2022年3月22日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会1回戦   金光大阪4ー0日大三島 ( 2022年3月21日    甲子園 )

<金光大阪・日大三島>甲子園初勝利を挙げ、大喜びで応援団のもとに駆け出す金光大阪ナイン(撮影・北條 貴史)
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 金光大阪は東海地区覇者の日大三島(静岡)に4―0で快勝。エース右腕の古川温生(はるき)が4安打で完封し、春夏通じて甲子園初勝利を挙げた。大阪府勢“2強”の大阪桐蔭、履正社以外が選抜で勝利するのは09年のPL学園以来13年ぶり。高知、木更津総合(千葉)もそれぞれ2回戦に進んだ。

 昼下がりの日差しを浴びた金光大阪ナインの笑顔が勝利の瞬間、金色に光った。重い扉をこじ開けたのは、エース右腕の快投だった。古川温生が138球を投げ4安打完封。同校に記念すべき甲子園初勝利をもたらした。

 「後半にかけて少しずつ自分の投球ができた。今までたくさんのOBの方がかなえられなかった1勝を取ることができてうれしい」
 5回2死満塁のピンチを切り抜けガッツポーズ。その後は二塁すら踏ませず9回、最後の打者の7球目に自己最速を4キロも更新する144キロを計測。「びっくりしました」と自覚はなかったが、最後までボールの威力は衰えなかった。

 魔法の言葉が背番号1を成長させた。昨年、同校を02年選抜で春夏通じて初出場に導いたOBで元中日の吉見一起氏が特別コーチに就任。古川が昨年末の練習試合で不調に終わり落ち込んでいるとき、同氏から「エースなんだから」と励まされた。以来、どんな時もこの言葉を胸に、精神的に成長。前日にも横井一裕監督を通じてLINEで激励を受け、マウンドに上がった。

 金光大阪に入学したのは、19年夏の大阪大会決勝で履正社に敗れあと一歩で甲子園を逃した兄・優生さんの姿を見て、雪辱を誓ったからだ。兄から息の合ったバッテリーの重要性を説かれ、ちょうど1年前、女房役の岸本紘一を誘った。「昼休みにキャッチボールをしよう」。昼食を早めに済ませ、そのたびに制服からジャージーに着替え、白球を通じて会話することを日課にした。三塁に走者を置いた初回、5回のピンチでも「岸本を信じて投げ込むだけ」とあうんの呼吸で本塁生還を許さなかった。

 創部翌年の83年から顧問を務めてきた桜井富男部長(61)が4年後の定年を迎えるまでに聖地1勝をプレゼントすることが、チームの合言葉だった。試合後、宿舎でウイニングボールを受け取った桜井部長はOBを思い出しながら「夢をかなえてくれました」と声を詰まらせた。つむがれてきた歴史の点と点をつないだエースが、高い壁を越えて校歌を響かせた。(北野 将市)

 ▼吉見一起氏(トヨタ自動車テクニカルアドバイザー) 親の気持ちといいますか、息子の試合を見ているような気持ちでした。20年前、初出場時も前の試合が延長戦。「嫌だな」とは思ったんですけど、そんな心配をする必要はなかったですね。初回に先制点を取って、投げるべき人がしっかり抑えて、100点満点の試合だった。僕はデザートみたいなもので、彼らの頑張りで勝つことができた。今日を自信にして次の試合もおごることなく臨んでほしいです。

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