綱渡り甲子園…史上最多6度目順延、止まらない感染拡大 大阪で初2000人超、兵庫は初1000人超

[ 2021年8月19日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権

グラウンドを整備する阪神園芸スタッフ(撮影・坂田 高浩)
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 第103回全国高校野球選手権大会第6日は18日、1回戦1試合、2回戦2試合が天候不良で順延。今大会の順延は6度目で史上最多となった。相次ぐ順延と前日17日の2校のコロナ禍による出場辞退を受け、19日以降の日程が再調整され、第6日から第8日までは連日4試合が行われる。決勝は28日に行われる予定だが、大阪、兵庫で感染者が増え続けており、予断を許さない状況。綱渡りでの大会開催は続く。

 昨季はコロナ禍で中止となり、2年ぶりに開催されている甲子園大会。だが、またもウイルスの危機に瀕(ひん)している。この日、新たな感染者は大阪府で初の2000人超となり、兵庫県も初の1000人超え。既に発令されている大阪府に続き、20日からは甲子園がある兵庫県にも緊急事態宣言が出されることが決まった。

 最優先されるのは人命。今以上に病床が圧迫されれば自治体から「打ち切り」を要請されるという、最悪のシナリオもちらついてくる。17日には宮崎商、東北学院(宮城)の2校がコロナの影響で出場辞退となった。会見した日本高野連の八田英二会長が「(宿舎近辺の医療機関などに)大きな負担をかけた」と謝罪した。一夜明けて二松学舎大付(東東京)の市原勝人監督は「手洗い、うがいの徹底。宿舎でもマスクをしている」と話し、前橋育英(群馬)の荒井直樹監督も「個人にも消毒(スプレー)を渡し、行動をしっかりするよう伝えている」と感染対策の徹底を強調したが、リスクは全校が抱えており、予断を許さない状況は続く。

 この日は午前6時に天候不良で順延が決定。これで75年の第57回大会の5度を超える史上最多の6度目の順延となった。大会本部は順延決定直後に一度は決勝を28日から29日に変更すると発表。だが19日からの日程を再調整し、午後3時には22日の女子決勝も3試合開催後とするなど25日の準々決勝まで全て4試合開催とすることを発表した。それに伴い決勝は再び28日に。そんなドタバタぶりに主催者の焦りがにじむ。

 二転三転する日程。球児らは難しい調整を強いられている。第1試合で近江(滋賀)と対戦予定だった日大東北(福島)の宗像忠典監督は「県大会の最終戦から3週間も空いている。技術より実戦から離れた精神的な浮き沈みが不安要素」と危機感をにじませる。

 19日以降も甲子園のある西宮市は雨予報。決勝までの残り30試合の消化に不安を残す。猛威を振るうウイルスと雨。球児がコントロールできない脅威が、103回目の夏に暗い影を落としている。

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2021年8月19日のニュース