巨人・中島“最年長39歳の技術”逆転V打 しぶとく右前「あそこに飛ぶのが自分の打ち方」

[ 2021年8月19日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人3-2ヤクルト ( 2021年8月18日    松山 )

<ヤ・巨>7回1死二、三塁、右前に逆転の2点適時打を放った中島はベンチに向かってガッツポーズ(撮影・奥 調)
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 チーム最年長39歳の巨人・中島には「大人」の打撃論がある。豪快な本塁打を狙っていた若き日の考え方は変わった。「詰まった分、あそこ(右前)に飛ぶのが自分の打ち方かもしれない。あれはあれでヒット」。現在理想とする逆転打だった。

 「ゾーンにくれば初球からいく」と腹をくくった1―2の7回1死二、三塁。狙った石山の直球をバットの芯より根元寄りに当て右前に落とす2点打だ。

 かつてはモヒカン、パーマとド派手な髪形でやんちゃな一面もあったが、今は若手の良き手本。短髪の黒髪で、打撃フォームを年齢に合わせて昨季劇的に変えた。高く上げていた左足を5分の1の地面から約7センチに抑え、無駄な動きを省いた。「ガッついて打ちにいき過ぎてはいない」。この打席は左足を2度軽く上げタイミングを取る高等技術だった。

 他人の足元をチェックし、周囲を和ませる余裕まである。今春キャンプは身長2メートルルーキーの秋広と一塁を争った。周りは騒がしくとも、競争は毎年のことで「意識は別にないですけど…」と、どこ吹く風。ただ、靴のサイズには自身の29・5センチと秋広の32センチを比べて驚き「3センチぐらいでこんなデカい靴になるんか」と笑わせた。

 4月に新型コロナに感染し約10日間の入院生活。狭い病室でも、できることをした。バットを振り切るスペースはないが、手に持って感触を確かめ続けた。尻、肩周り、股関節をゴムチューブで鍛える強化を繰り返した。

 得点圏打率は・467。「今日は何とか勝ちたい。ヒーローになる場面で回ってきた」と打席に立った。首位阪神とは2ゲーム差を守り、3位のヤクルトと1・5差に離した。通算1879安打の日米プロ21年目は、ヒーローインタビューで松山の観客に「これから雨が強くなるかもしれないので、気をつけて帰ってください」と言った。気の利いた「話術」もベテランならではだ。(神田 佑)

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