動じない…“追いロジン”オリックス山崎福に感じる頼もしさ

[ 2021年8月19日 08:45 ]

ロジンを手になじませる山崎福
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 白球をリリースするたび、白い粉が舞う。ロジンを大量につける手のひらと手の甲はもちろん、アンダーシャツの袖口辺りまで真っ白。「元祖追いロジン」とネット上で話題となったオリックス・山崎福也投手だ。投球テンポも早く、真っ白な粉が舞い続ける中で投球する姿は映える。「試合最初の方がロジンの出がいいですね」の言葉が粋に聞こえる。

 「僕自身も結構、汗をかくので、ロジンをつけることが1つのリズムになっているので、つけている人の気持ちはわかりますよね」

 「追いロジン」。東京五輪で金メダル獲得に貢献した日本ハム・伊藤大海投手が、自身のツイッターにハッシュタグを付けて投稿したこと。侍ジャパン準決勝・韓国戦で「ロジンを付け過ぎではないか」とクレームを受けながら直後の投球前にロジンを付け足した。新人で、初のトップチームでの国際大会、しかも相手はライバル韓国。リズムを崩しかねない場面で伊藤は2回無失点に封じた。負けん気の強そうな面構えから、度胸満点のマウンド姿は想像できた。

 一方で、優しい顔立ちの山崎福。周囲を気遣う人柄で宮城ら後輩たちから慕われる。その内面は実は闘志に溢れている。今季も試合中に対戦相手から“ロジンを付け過ぎ”と頻繁に指摘されても自身の投球スタイルを貫く。「ルールに(付け過ぎはダメと)ないですから付けますよね。言われたら(控えて)、1人打ち取ったら、またという感じで」と言い切る姿は頼もしい。

 多少のことでは動じない。父・章弘さんは巨人、日本ハムで捕手として計12年間プレー。父の背中を追いかけていた中3の時に余命宣告を受ける脳腫瘍が見つかり大手術を受けた。手術前日には、札幌ドームで当時日本ハムだったダルビッシュの完封劇を脳裏に焼き付けた。野球ができること自体が奇跡的な状況で、日大三から明大を経てプロ入り。昨季から先発ローテーションに定着した。

 後半戦一発目となった前回8月15日のロッテ戦は、5回3失点。打線の援護もあって自己最多タイ5勝目をマークした。山本、左腕の田嶋や19歳・宮城が2桁10勝を挙げる中で、「みんな後輩ですが、本当に刺激を受けていますよね。もっと頑張らないとって」。山本や吉田正ら主力の他に、宮城の大ブレークや4番・杉本の覚醒などオリックスの上位躍進の理由はたくさんあるが、山崎福も間違いなく原動力の1人だ。(記者コラム・湯澤 涼)

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2021年8月19日のニュース