片岡篤史氏 阪神・ロハスの粘り、島田の全力疾走 これが優勝に向かって一丸の全員野球だ

[ 2021年8月19日 07:30 ]

セ・リーグ   阪神5-2DeNA ( 2021年8月18日    東京D )

<D・神>8回、中野の犠飛で生還した島田を迎える矢野監督(撮影・島崎忠彦)
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 【片岡篤史 視点】終盤の逆転劇に、タイガースの強さを感じた一戦だった。決勝の押し出し死球となったロハスは、追い込まれてから指1、2本分短く持って粘りを見せていた。助っ人がああいう姿勢を見せられるのは、みんなが優勝という一つの目標に向かって進んでいるからだ。全員野球の象徴とも言える場面だろう。

 1点を勝ち越された直後の8回は、糸原からの3連打で追いついたが、9回打ち切りを見越して全員に代走を送った。その結果、9回は普段あまり打席に立つチャンスがない植田、木浪、島田に打順が回ったが、それぞれがいい仕事をした。植田は内野安打で好機を広げ、木浪はフルカウントから四球を選んだ。島田は遊ゴロだったが、一塁まで全力疾走したことで併殺を逃れ、佐藤輝のタイムリーを呼んだ。

 特に島田の全力疾走は記録に残らないプレーだが、全員が徹底できている。その1、2歩の差が相手に相当なプレッシャーを与えているし、常に前の塁を狙う積極走塁が脅威となる。中野の左犠飛にしても、決して簡単ではない。チームの方針である第1ストライクから打つという積極的な姿勢が、結果につながった。

 これで後半戦は4勝1敗。チームの状態がいいからこそ、あえて一つだけ苦言を呈しておきたい。初回無死一塁の遊ゴロで、糸原の一塁送球がそれ併殺を取り損ねた。東京五輪を見ても分かるように、ここからはベースカバーなども含めた細かいプレーが勝敗を分けていく。やるべきことをしっかりやる、ということを再確認してほしい。(本紙評論家)

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