阪神・藤浪 負けても大きな半歩 昨季0勝、コロナ感染、遅刻懲罰降格、故障…試練乗り越え1軍登板

[ 2020年7月24日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神2―4広島 ( 2020年7月23日    甲子園 )

<神・広(5)>6回2死満塁、ピレラ(手前)に右越えの満塁本塁打を浴び、顔をしかめる藤浪(撮影・坂田 高浩)
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 阪神・藤浪晋太郎投手(26)が23日の広島戦で357日ぶりの1軍登板に臨み、6回0/3を4失点で敗れた。一度は663日ぶり白星の権利を得ながら、6回痛恨の逆転満塁被弾。コロナ感染、遅刻による懲罰降格、故障などがあった8年目が始まり、復活へ“半歩”前進した。チームは5連勝で止まり、勝率5割へ戻った。

 心の中で誰もが“押し返した”打球は無情にも右翼席に消えた。続々と生還していく赤いユニホームを背に、藤浪はがっくり肩を落とした。

 「先制点をもらった状況だったので、何としても自分自身で勝ちを呼び込まないといけなかったのですが、今日一番のターニングポイントで粘り切ることができず、もったいない投球となりました」

 手にかけていた白星への道筋が暗転したのは2点優勢の6回だった。安打と2四球で招いた1死満塁。松山に対しては3ボールから持ち直し、最後は154キロで見逃し三振に抑え、あと1死だった。

 そして、続くピレラへの2球目。154キロを捉えられ、痛恨の逆転満塁被弾になった。天と地を分けるアーチに沈み、続く会沢を空振り三振に仕留めると、悔しげに右手で足を力強く叩いた。

 思いを込めたボールで序盤から必死にアウトを積み重ねた。初回1死一、三塁では鈴木誠を154キロで遊ゴロ併殺。5回まで3者凡退は一度だけ。計6四球を与えた一方、150キロ台の速球を連発した。再三走者を背負っても、初回に同世代の大山の援護弾で得た2点を大切に守り、5回までゼロを並べた。

 この時点で68球。余力十分に向かった6回に悪夢が待っていた。逆転された後も続投し、7回は北條の失策と四球で無死一、二塁としたところで降板した。2番手の望月に「ごめん…」と告げて走ってベンチへ戻る背番号19にスタンドからは拍手が注がれた。

 3月下旬に新型コロナウイルス感染が判明。入院生活から回復して1軍合流した直後の5月下旬には練習遅刻による懲罰で降格した。2軍では右胸も故障。ようやく、たどり着いた357日ぶり1軍マウンドで復調の兆しも示した。矢野監督も「晋太郎らしく腕振って投げてくれた。(6回は)勝負に行った結果なんで仕方ない。(次回も)もちろん先発させる」と来週の先発起用も明言した。

 黒星で始まった8年目。悔しさを感じられるのは、勝負の舞台に立っているからだ。まずは“半歩”踏み出した。苦みの残る106球には確かな希望が交じっていた。 (遠藤 礼)

 《満塁被弾は4年ぶり3本目》藤浪(神)の満塁本塁打被弾は14年4月8日のDeNA戦(甲子園)7回2死のブランコ、16年8月30日の中日戦(ナゴヤドーム)初回1死の杉山に続く4年ぶり3本目。逆転を許したのは14年の4―1からの被弾以来2度目。

 【藤浪 357日ぶり1軍登板への歩み】
 ▼19年8月1日 中日戦(甲子園)で18年10月6日以来299日ぶりの1軍登板。4回1/3を4安打8四死球の1失点で勝敗なし。翌2日に登録外となり、初のシーズン未勝利。
 ▼11月1日 高知・安芸での秋季キャンプ参加。山本昌臨時コーチの指導を受ける。
 ▼12月6日 契約更改で2100万円減の6300万円(推定)。4年連続の減俸。
 ▼12月9日 沖縄で「ドライブライン・ベースボール」のセミナーに参加。米国の専門家による動作解析。
 ▼20年3月26日 新型コロナウイルス感染が判明し、4月7日まで入院。
 ▼4月23日 退院後初の会見で謝罪。
 ▼5月28日 1軍練習に遅刻したため、翌29日に2軍降格。
 ▼6月3日 2軍練習試合ソフトバンク戦で右胸の張りを訴え2回0/3緊急降板。
 ▼7月16日 ウエスタン・オリックス戦に先発して今季最長の7回無失点。直近4試合で16イニング連続零封。
 ▼7月19日 1軍練習に合流。

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2020年7月24日のニュース