3年生2人の藤岡北 難病抱える能勢が執念走塁で零敗阻止、木村は笑顔「最後まで戦えた」

[ 2020年7月24日 16:38 ]

群馬大会1回戦   藤岡北1―11吾妻中央 ( 2020年7月24日    上毛新聞敷島 )

<吾妻中央・藤岡北>4回2死一、二塁、打者・桜井の時、投手のワイルドピッチの間に二走の藤岡北・能勢が生還しガッツポーズ(撮影・西尾 大助)
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 7回コールド敗退も藤岡北の木村拓馬投手(3年)、能勢(のせ)陽一塁手(同)は胸を張って試合終了後の整列に加わった。「初戦突破が目標だったけど、能勢と最後まで戦えた」。下級生時はケンカの絶えなかった2人が最後は笑った。

 零敗を阻止したのは能勢の激走だった。0―6の劣勢で迎えた4回2死。能勢、木村が死球で出塁すると、次打者の暴投の間に二塁からホームを陥れた。「(相手)捕手がもたついていたし、行きました。そういう場面でウチは点を取らないと」。血尿などが出る難病のIga腎症を患い過度な運動を慎むはずが、この時ばかりは50メートル6秒5の脚力をフル回転させた。

 1年夏から熱中症に悩まされ、ストレス性じんましんが出る木村もマウンドで踏ん張った。5回0/3を11安打10失点。バックの5失策が響いたが、77球を投げ抜いた。

 「神田監督には本当感謝です。ボクは中学から投手経験のない素人ですから」。プロ野球・元巨人の投手だった神田直輝監督(32)から変化球を伝授され、カーブを身につけるまで成長した。

 チームも進化しつつある。昨冬はわずか5人の部員で7時過ぎまで走塁練習。先輩の必死な姿を見て、9人の1年生が門を叩いた。チーム合流はコロナ禍で6月までずれこんだが、昨秋は四ツ葉中等・玉村・尾瀬の連合チームでの参戦も、今夏は単独チームで出場した。「1年は練習できず厳しかっただろうけど、3年生の姿を見て何かを感じてくれたはず」。神田監督も未来の藤岡北に期待した。

 試合後。能勢は「木村には“お疲れ様”と伝えたい」と話した。野球にひと区切りをつける木村は「将来は看護師として高校野球に携わりたい」と顔を輝かせた。熱中症で通院した当時、医療従事者の真摯(しんし)な対応に感激し、自分もその分野で役に立てればと考えている。こういう夢があってもいい。

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