海を渡る元阪神トレーナー伊藤氏 金本氏譲りの“信念”胸に新たな挑戦

[ 2020年1月25日 08:00 ]

阪神・矢野監督(左)と話す伊藤健治トレーナー
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 球春到来も目の前だ。2月1日からは春季キャンプがスタート。3月20日の開幕へ向けて各球団が各地でレベルアップに励む。プロ野球選手たちの新たな挑戦が幕を開ける。その一方で、昨季限りで阪神を退団した一人の男が自らの力を試すために海を渡ることを決めた。

 「正直、迷いましたよ。タイガースには本当にお世話になったし、感謝しかありませんから。今年、やろうとしていたことも考えていたし、決まっていた。ただ…。何より挑戦したいという気持ちが強かった。誰も自分のことを知らない、自分も何もわからない環境で今までやってきた仕事をやりたいと思った」

 そう静かに語ったのは阪神で11年間トレーナーを務めていた伊藤健治氏(39)だった。社会人チームのトレーナーを経て2008年に入団。リハビリ担当、2軍担当、1軍担当など数々のポジションを経験した。球団もトレーナーとしての能力を高評価し、将来はトレーナー部門の責任者候補として期待していた人物だ。縁の下の力持ちとしてチームを支えてきた一人。その功労者が今年からは米大リーグの球団トレーナーとしてマリナーズに入団。日本での“活躍”を評価されてヘッドハンティングされた。

 「阪神では数多くの選手と出会えたことが財産です。特に金本(知憲)さんからは大きな影響を受けました」

 2010年のシーズン途中からは1軍担当として肩のケガに苦しんでいた金本を全力でサポートした。1日の半分以上は一緒に過ごす日々が約3年間も続いた。「信念というか強さというか。すごさを感じました。またトレーニングに関しても逆にこちらが勉強になることが多かったです」。真摯に選手と向き合い、相手が誰であっても進言する姿にはトレーナーとしての信念を感じた。その姿勢を選手も認め、球団内での信頼度はトップクラス。また、金本以外に鳥谷も絶大な信頼を寄せていた。

 「一番大切にしていたことは信頼関係ですね。(トレーナーとして)すごく知識があって、技術もあっても、話しを聞いてもらえなかったら何も意味がない。とにかくコミュニケーションを取って、選手の興味を持ってもらえるようにいろいろ考えていました」

 自らのレベルアップのためにオフシーズンには自腹で単身渡米してトレーニングの勉強に励むこともあった。またキャンプ中の休日には自室にこもって文献を読みあさることも恒例だった。矢野監督は就任以来、選手たちには「挑戦」することの大切さを常々語ってきた。それを実行した一人でもある。「必要とされる人になって戻ってきたい」。2月上旬には渡米予定。最初は妻子を日本に残して新天地に乗り込む。猛虎で育ったスペシャリストのシーズンも、また始まる。(記者コラム・山本 浩之)

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