帯広農 初センバツ!朝ドラ「なつぞら」モデル校 「すず野球」で旋風起こす!

[ 2020年1月25日 05:30 ]

21世紀枠で選ばれた帯広農の選手らはグランドに雪像した牛の前でポーズを決めた(撮影・高橋茂夫)
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 第92回選抜高校野球大会(3月19日から13日間、甲子園)の選考委員会が24日、毎日新聞大阪本社で行われ、出場32校が決まった。学校創立100周年の帯広農(北海道)は21世紀枠で初出場。昨年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」で女優の広瀬すず(21)演じる主人公が通った「十勝農」のモデル校は、新キャッチフレーズに「すず野球」を掲げて聖地に乗り込む。組み合わせ抽選会は3月13日に行われる。

 グラウンドで「牛」が待っていた。ナインが前日に作った雪像。吉報届けと込めた祈りは冬空に届いた。前田康晴監督が「壊せなくなったな」と笑う。センバツに備えた避寒地での合宿に入るまでは、つぶらな瞳に見守られながらの練習だ。

 野球部員37人全員が農業王国・十勝出身。牧場、農園、ビニールハウスが広がる学校で牛を飼い、野菜を育てるなどして生きる力を養う。北海道大会4強に入った昨秋のメンバーのうち9人は家業が農業。その特色で、中学時代は全員が軟式でプレーしていた部員が野球の力も伸ばした。

 筋力トレーニングの効果を高めるのは「自家製プロテイン」。校内で搾った牛乳と、栽培した大豆をひいたきな粉が原材料だ。収穫した野菜はカレーライスなど練習前後の「補食」に使う。4番・前田(2年)は「プロテインと補食で毎月、全員が体重1・5キロ増を目標にしてきた」と話した。

 力のいる農業や土木の実習もパワー養成につながり、昨秋公式戦は7試合で58得点。甲子園では新しい色も見せるつもりだ。「1週間前、キャッチコピーを作りました。“すず野球”です」と主将の井村(2年)。「なつぞら」主演の広瀬すずにちなみ、3つの「す」と3つの「ず」を設定したという。「す(=S)はスピード、スマイル、素直さ。ず(=Z)はゾーンに入る、頭脳的、ずばぬける」。満面の笑みで説明した。

 エース吉田輝(現日本ハム)で18年夏に全国準優勝した金足農(秋田)を昨夏に訪ね、練習姿勢に刺激を受けたのが現チームの始まり。昨秋打率・667の5番・水上(2年)は「私立校に負けない力強いスイングを見せる」と意気込んだ。昨年12月の21世紀枠候補推薦を踏まえ、今月8日には例年より約1カ月早くマシンを使った雪上練習を始めている。道勢の21世紀枠初の2勝を目標に、春の収穫祭に臨む。 (和田 裕司)

 ▽なつぞら NHK連続テレビ小説第100作目として、19年4月から9月まで放送。両親を戦争で 失った主人公・奥原なつが父の戦友に引き取られ、北海道・十勝で優しい大人たちに囲まれて成長する姿を描いた。困難に負けないヒロイン・なつ役を広瀬すずが務 め、全156話の平均視聴率は21・0%(関東地方)。十勝に暮らす酪 農家の生活や、小豆やバターなどの特産品も登場した。

  ▼俳優・山田裕貴(「なつぞら」出演。父は広島・山田和利内野守備走塁コーチ)「なつぞら」の舞台としてお世話になった帯広農業高校、ぜひ甲子園で魂の躍動を見せてほしいです。球児のみんなが出せる全ての力を尽くせますように。(「なつぞら」ナレーションを模して)みんな、甲子園に続けよ!

 ≪甲子園で「FFJの歌」響く!≫甲子園で「FFJの歌」が響き渡る。「なつぞら」で使われ話題を呼んだ日本学校農業クラブ連盟(Future Farmers of Japan)の歌。帯広農は昨秋の北海道大会で応援に用いていた。二木浩志校長は「地元兵庫の農業高校さんから“応援したい”という連絡もある」と言い、「創立100周年の一番大きい行事になる」と喜びいっぱいだった。

 【帯広農アラカルト】

 ☆設置学科 農業科学、酪農科学、食品科学、農業土木工科学、森林科学科を設置。19年は夏休みの練習時間は早朝5~11時。

 ☆敷地面積全国2位 50ヘクタールの畑と27ヘクタールの森林を含め敷地面積は約110ヘクタールで、標茶(北海道)に次いで2番目の広さ。じゃがいも、小麦などを作る。

 ☆時間外実習 農業科学科は畑の管理、酪農科学科は朝夕の搾乳や飼育管理を行う。各科とも年間数十時間から100時間以上。

 ☆加工品販売 パンやジャム、乳加工品を学校敷地内で定期的に販売。大阪・阪急うめだ本店や銀座のレストランで販売会開催も。

 ☆銀の匙(さじ) 同校出身の漫画家・荒川弘氏が同校をモデルに農業が抱える厳しい現実を青春漫画として描いた。

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