ソフトB“甲斐キャノン”で下克上!2年連続9度目の日本一

[ 2018年11月4日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ第6戦   ソフトバンク2―0広島 ( 2018年11月3日    マツダ )

3回2死一、三塁、安部の二盗を刺す甲斐。打者石原(撮影・北條 貴史) 
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 ソフトバンクが広島を2―0で下して対戦成績を4勝1敗1分けとし、2年連続9度目(南海、ダイエー時代を含む)の日本一に輝いた。MVPは甲斐拓也捕手(25)が選ばれ、育成出身では初の受賞。一度も盗塁を許さずに6連続での盗塁阻止はシリーズ新記録となった。レギュラーシーズン2位から勝ち上がっての日本一は球団初めて。下克上の象徴が甲斐だった。

 三塁ベンチから猛ダッシュで守護神・森の元へ駆け寄った。マウンドにできた輪の中で、甲斐は雄叫びを上げた。2年連続の日本一。それだけではない。育成出身初となる日本シリーズMVPに笑顔がはじけた。

 「ちょっとびっくりしています。僕と思っていなかったので…」。それもそのはず。わずか2安打で打率は・143。それでも強肩で勲章をつかんだ。日本一が懸かった大一番でも2つの盗塁を刺し、6連続の盗塁阻止。「僕1人の力では獲れなかった。監督、コーチ、そしてピッチャーのおかげです」。MVPとして賞金600万円をゲット。15、16年度の年俸をわずか6試合でつかんだが、ナインに感謝の気持ちは忘れなかった。

 初回から「甲斐キャノン」を発動。初回1死一塁。昨季盗塁王の田中が走ると、外角のチェンジアップを捕球し、体勢を崩しながらも二塁へ投げた。一度はセーフもリクエストで判定はアウトに覆った。「立ち上がりは大事にしているところ。初回のアウトは大きかった」。2回2死一、三塁でも二盗を試みた安部を楽々と刺した。最後はベテランの高谷にマスクを譲ったが、完封リレーを演出した。

 レギュラーシーズンでも両リーグトップの盗塁阻止率・447。通常は1・90〜1・95秒でもトップレベルの二塁送球だが、甲斐のアベレージは1・8秒台だ。1・71秒を叩き出したこともある。ミットのポケットは通常よりもやや浅めで、ボールを捕って素早く投げられる仕様になっている。「とにかく、小さい頃から手首をずっと鍛えていた」。地道な努力が1メートル70の小さな体から、「甲斐キャノン」を生み出した。

 マツダスタジアムでの広島戦には苦い思い出もあった。14年6月7日にプロ初出場も14点リードの9回からの登場で3失点。1軍定着のかかった15年3月22日のオープン戦では0―0の9回にマスクをかぶり、サヨナラ捕逸。試合後はロッカーで号泣し、しばらく立ち上がれなかった。苦い涙も連覇で晴れた。

 今季セ・リーグトップの95盗塁を誇る広島の機動力を完全に封じ、球団初の下克上達成。強肩が注目される中で、捕手としても成長している。「拓也(甲斐)の発言が“次どうしたい?”から、先に自分の意見を言う確率が多くなった」と千賀。頼もしい女房役はまだ伸び盛りだ。「2位で悔しいシーズンだった。最後に勝てて良かったし、こんなに素晴らしい舞台で結果を残せてよかった」。試合後の「Yahoo!検索ワード」。1位は全国にとどろかせた「甲斐キャノン」だった。 (後藤 実穂)

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