元広島・黒田氏、引退の新井さんに感謝「かけがえのない戦友」

[ 2018年11月4日 09:30 ]

黒田博樹氏
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 2015年に新井とともに広島に復帰し翌16年のリーグ優勝に大きく貢献した黒田博樹氏(43)が3日、20年のプロ野球人生を終えた新井貴浩内野手について語った。

 大声援の中で代打に立ち、最後は一塁守備にも就いた。明日も戦う。表情には意欲がみなぎっていた。予想通りだった。その姿勢こそ、個人よりもチームを優先した新井の生き様だ。ゲームセットの瞬間まで、自分個人のことで感傷的にはならないと思っていた。

 あれは確か13年前。ともにタイトルを獲り「オレは投手を引っ張る。お前は野手を引っ張れ」と言ったことを覚えている。チームは同じ方向を向き、投手と野手に溝があってはいけない。彼とは野球観が一致していた。

 互いに厳しい環境で生き抜き、復帰して迎えた初のキャンプ。8年ぶりに見た新井は、以前の新井ではなかった。古巣に戻ることに後ろめたさがあったのか、どこか小さくなった印象だった。開幕後には、しかし、昔の新井に戻っていった。

 ボク自身、うれしかった。当時の一塁候補はグスマン。新井がもし、オープン戦で結果を残さなかったら、2軍に落とされていたかもしれない。05年に本塁打王を獲った時もしかり。すべて彼が結果を残し、自分の力で勝ち取った地位だ。本当にスゴいと思う。

 本拠地のトレーナー室。ベテランと呼ばれる年齢になると、得てして入り浸りになりがちだが、彼は自分を律し、必要な時にしか受けなかった。無論、マッサージは大事だ。ただし、年長者が独占するとチームに悪影響を及ぼす。間違った方向に行かないよう、自分を常に客観視する力を持っていた。

 この4年間、新井が行動や背中で示してきたことを、若い選手はどう見ていたのか。30歳、あるいは40歳近くになって体が動かなくなり、思うプレーができなくなった時、姿を思い出してほしい。彼が覚悟を持って古巣に戻った意味がそこにある。願わくば、こうした姿勢がチームの伝統になればと思う。

 必死に戦ってきた旧広島市民球場時代。空席が目立つガラガラの三塁側スタンドが日常だった中で、新井とボクは、強くなりたい、たくさんのお客さんの前でプレーしたい、いつか優勝したいと語り合ってきた。彼は、ボクにとってかけがえのない戦友だ。

 時は流れ、満員のマツダスタジアムで、しかも日本シリーズで最後の打席を迎えることができる。真剣勝負で終えられる。こんな大団円、当時は想像もできなかった。ボク自身もそうだったが、新井にとっても幸せな野球人生だったと思う。

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