ソフトB工藤監督“王超え“14度目日本一!内川に犠打 勝負手ズバリ

[ 2018年11月4日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ第6戦   ソフトバンク2―0広島 ( 2018年11月3日    マツダ )

日本一を決め胴上げされる工藤監督(撮影・大森 寛明)
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 こらえ切れない。球団初の下克上日本一。ソフトバンク・工藤監督は、王貞治球団会長からねぎらいの言葉を掛けられると、目は真っ赤になった。

 「僕は日本一幸せな人間です。このチームの監督ができて幸せ。支えられていたんだなと、こみ上げてきた」

 今季157試合目。攻めのタクトで2年連続の日本一を呼び込んだ。0―0の4回無死一、二塁で内川に第5戦に続いて犠打を命じた。西田の2球目には、意表を突くスクイズで先制点をもぎ取った。投手交代機も迷わず、4投手の無失点リレーで締めくくった。

 シーズンは西武に6・5ゲーム差の2位に終わり、CSに気持ちを切り替えた。短期決戦では決断の連続。次々に勝負手を打った。投手陣はシーズン終盤から石川、武田を第2先発としてロング救援ができる体制とした。

 CS、日本シリーズ計14試合で、先発が5回を投げたのは7試合しかない。昨季は11試合で8試合だっただけに、早い仕掛けは顕著だった。シリーズ初戦には5回にエース千賀の打順で迷わずに代打・デスパイネを送り、同点劇を演出。中継ぎ陣には「勝てる展開ならつぎ込む」と、過酷な登板をお願いした。

 勝つために何が最善か。オーダーは試合当日に決めた。CSでは本調子ではない松田宣をファイナルSでスタメンから外した。シリーズ第5戦では内川に対し「悪いけど、バントしてくれ」と11年の移籍後、一度もなかった犠打のサインを出した。「苦しい決断をしないといけないのは、最終的に僕の仕事」。勝利だけを求めた。

 シリーズ初戦の引き分けは86年の西武―広島以来32年ぶりだった。当時、西武のユニホームを着ていた工藤監督は、引き分け後に広島に3連敗を喫したが、自身のサヨナラ打をきっかけに、4連勝で日本一の立役者になった。高卒でプロ入りし、実働年数29年。「足が震えるくらい緊張したのは2回しかない。200勝を達成した9回のマウンドと、もう一回は…」。その86年の第8戦で救援し、1点リードで迎えた9回のマウンドだった。不思議な因縁が、今シリーズにはあった。

 「去年は胴上げで選手に“重い”と言われたから」と日課のランニングで体を絞った。夏前に採寸したジャケットのサイズは数センチ小さくなっていた。チームにはケガ人が続出していた。運動だけの体重減ではなかった。

 CS突破の胴上げは固辞し、ビールかけは数分で会場を後にした。そして、日本一連覇を達成。「2位で悔しい思いをして、みんなが日本一になるんだという強い思いがあって、ここまで来られた」。選手、監督として通算14度目の日本一は、王貞治球団会長の13度を上回った。日本シリーズの勝ち方を知る勝負師が、昨年よりも少し軽くなった体で14回、宙を舞った。(川島 毅洋)

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