これぞエース!内海 三重苦にも負けず10連勝お膳立て

[ 2012年5月26日 06:00 ]

<ロ・巨>ナインを出迎える内海(中央)

交流戦 巨人4-2ロッテ

(5月25日 QVC)
 巨人の内海哲也投手(30)が25日、ロッテ戦で8回を5安打2失点に抑え、今季4勝目を挙げた。パ・リーグの首位相手に7回まで無失点の快投。昨季からの自身の交流戦連勝を7に伸ばした。チームも3年ぶりとなる破竹の10連勝。

 不運にも、風にも、重圧にも内海は負けない。これぞエースの投球だ。大ピンチは初回に訪れていた。ブチッ。ブルペンでのアップ中にグラブのヒモが切れた。まるでげたの鼻緒が切れるような不吉な出来事だった。 「こんなの初めて。嫌な予感走りまくりでした」。急きょ山口のグラブを借りマウンドへ。「重さもタイプも違うし違和感ありありだった。早く直ってくれと不安でしようがなかった」。先頭から試練を迎えていた。

 投球時にグラブを前に突き出す内海には、グラブが変わるとバランスが取りづらい。事実、初回を終えた内海は阿部からすぐに「腕が横振りになっている」と指摘を受けていた。それでも3番・井口をスライダーで空振り三振に仕留めるなど、初回をわずか8球で3者凡退に料理。2回には相棒の修理が間に合った。周りに見えないピンチを、さも平然としのいだ。

 次なる敵は風だった。年に1度の敵地QVCマリン。バランスは取り戻したはずの2回、変化球の精度を欠いた。先頭からサブロー3ボール、角中2ボール、清田3ボールと常にボール先行。この日は4メートルと同球場にしては強くない風だが「やはり他の球場とは違う。3回くらいまでつかめなかった」。マウンドでは向かい風となる特有の浜風は、変化球のブレーキを大きくする。「風の計算も次第にできた。風を受けて曲がれば武器になる」と川口投手総合コーチ。見事な修正能力で無四球、8回を5安打2失点で投げきった。

 チームは10試合連続2失点以内という38年ぶりの快挙。チーム防御率は両リーグ唯一1点台と、投手陣の奮投が10連勝の原動力だ。「自分で途切れさせたくない。相当緊張してました。落ち着いてるよう見せました」。重圧も加わった三重苦にも平静を装った鉄仮面。エースは最後に外して笑った。困難をさらり乗り越える左腕が屋台骨として支える。だから巨人は強い。

 ▼巨人・山口(ロッカーが対面の内海にグラブを貸し)これで点取られたりしたらどうしようと思っていました。

 ▼巨人・原監督 (10連勝に)やっちゃった?不思議ですか?まだまだ。(内海は)何となくまとめたという感じでしょうか。

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