【北京五輪プレーバック】転倒した菜那の涙…寄り添った美帆「掛ける言葉が見つからなくて」

[ 2022年2月20日 20:00 ]

選手の談話で振り返る激闘の19日間

<女子スピードスケート団体追い抜き>ゴール直前で転倒し、チームメイトに声を掛けられる高木菜那
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 北京冬季五輪は20日、北京市の国家体育場(通称「鳥の巣」)で閉会式を行い、19日間の全日程を終える。日本は金メダル3個を含む18個のメダルを獲得。大会中は選手の戦う姿勢に胸を打たれる場面が数多くあった。そんな心に残った五輪の名場面を、選手の談話をもとに振り返ってみる。

 15日に行われたスピードスケートの女子団体追い抜き決勝で日本はカナダ戦に敗れて、銀メダルとなった。リードしていた最終コーナーで高木菜那(29=日本電産サンキョー)が転倒。残り200メートルで0秒32のリードを保っていたが、勝利目前の最終コーナーに落とし穴が待っていた。高木菜は「転ばなければ優勝できたかもしれないタイムだったので悔しい。(転倒の原因は)まだ考えていない。頭がついてきていない」と、連覇を逃して涙を流した。

 泣きじゃくる高木菜を妹の高木美が優しく抱擁した。同じ中長距離で競い合うライバルでもあるが、姉妹を超えて信頼しあえる仲間でもある。敗戦の責任を背負う姉に寄り添い「掛ける言葉が見つからなくて、そばに行くことしかできなかった。起きてしまったことはどうすることもできない。責任を背負う必要はないが本人はそうはいかないと思う。複雑な気持ちで寄ることしかできなかった」と振り返った。

 一番そばにいる理解者でもあり、切磋琢磨してきた間柄だ。高木菜は大会前に五輪挑戦は今回が最後になる可能性を示唆していた。2度目にして最後となるかもしれない妹との共演は不本意な結果となったが「(高木美、佐藤との)3人でしかできないパシュート(団体追い抜き)を4年間貫き通せたことは誇っていい」と最後は涙を拭った。

 ◇高木 美帆(たかぎ・みほ)1500メートルの世界記録保持者。18年平昌大会は団体追い抜きで金メダル、1500メートルで2位、1000メートルで3位。オールラウンドの18年世界選手権総合優勝。20年世界選手権スプリント総合優勝。日体大出、日体大職。27歳。北海道出身。1メートル64、58キロ。姉の菜那も今大会の代表。

 ◇高木 菜那(たかぎ・なな)18年平昌大会の団体追い抜きとマススタートで優勝。五輪同一大会で日本女子史上初の2冠。北海道・帯広南商高出、日本電産サンキョー。29歳。北海道出身。

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