【北京五輪プレーバック】崩れ落ちたワリエワ…銅メダルの坂本も同情「正直、見るのがつらかった」

[ 2022年2月20日 20:20 ]

選手の談話で振り返る激闘の19日間

女子フリー、演技を終え涙するワリエワ(中央)。左がエテリ・トゥトベリゼ・コーチ(撮影・小海途 良幹)
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 北京冬季五輪は20日、北京市の国家体育場(通称「鳥の巣」)で閉会式を行い、19日間の全日程を終える。日本は金メダル3個を含む18個のメダルを獲得。大会中は選手の戦う姿勢に胸を打たれる場面が数多くあった。そんな心に残った五輪の名場面を、選手の談話をもとに振り返ってみる。

 番外編とも言うべきか。しかし、今大会で最も注目を集めてしまったのが、15歳の少女だった。

 昨年12月のドーピング違反が判明しながら個人種目出場を認められたフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(15、ロシア・オリンピック委員会=ROC)は、SPを1位で終えたが、フリーではミスを連発して5位にとどまり、合計224・09点の4位でメダルを逃した。

 結果を待ったワリエワはキス&クライですすり泣き、立ち上がることができなかったほど。自身がメダルを逃したことで始まった表彰式の準備に背を向け、取材エリアを無言で通過した。ドーピング問題が決着するまで順位は暫定扱いという前代未聞の競技が幕を閉じた。

 世界中から注目を集めた15歳。メダル争いをし、銅メダルを獲得した坂本花織(21=シスメックス)も「正直、見るのがつらかった。いや、つらかったです。団体の時の勢いがイメージであったので、今日はどうしたんだろうなという感じで見ていました」とミスを連発した姿に同情の面持ちで話したのが、何とも印象的だった。

 《ワリエワの主な経過》
 ▼21年12月25日 ロシア選手権女子シングルで優勝。
 ▼22年2月1日 北京入り。
 ▼同7日 団体で五輪の女子競技史上初めて4回転ジャンプを着氷。
 ▼8日 ロシア選手権の検査結果をWADAが報告。禁止薬物のトリメタジジンに陽性反応を示し、RUSADAはワリエワを暫定資格停止処分に。団体戦表彰式は「法的問題」で延期。
 ▼9日 RUSADAの規律委員会に異議申し立て。暫定資格停止処分が解除される。各国メディアがドーピング違反を報じる。
 ▼10日 個人戦へ練習再開。
 ▼11日 ドーピング検査を管轄する国際検査機関(ITA)が大会前のドーピング違反を公表。IOCなどが暫定資格停止処分解除への異議をCASへ申し立て。
 ▼13日 CASがオンライン形式で聴聞会。
 ▼14日 CASが個人戦出場を認める。
 ▼15日 女子SPで首位発進。同日付の米紙ニューヨーク・タイムズが、禁止薬物トリメタジジン以外に、心臓疾患の治療に使用される「ハイポキセン」「L―カルニチン」が検出されたと報道。
 ▼16日 本番リンクで公式練習に参加。

 ◇カミラ・ワリエワ 2006年4月26日生まれ、ロシア・カザン出身の15歳。09年にスケートを始め、18年シーズンからトゥトベリゼ・コーチに師事。19~20年シーズンにジュニア・グランプリファイナルと世界ジュニア選手権を制覇。21年からシニアに参戦し、スケートカナダやロシア杯、欧州選手権で優勝。SPの90・45点、フリーの185・29点、合計272・71点はいずれも歴代世界最高記録。1メートル60。

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