【北京五輪プレーバック】「僕が魔物」の小林陵侑 失意の高梨沙羅を「たくさんハグしてあげました」

[ 2022年2月20日 19:20 ]

選手の談話で振り返る激闘の19日間

小林陵侑(AP)
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 北京冬季五輪は20日、北京市の国家体育場(通称「鳥の巣」)で閉会式を行い、19日間の全日程を終える。日本は金メダル3個を含む18個のメダルを獲得。大会中は選手の戦う姿勢に胸を打たれる場面が数多くあった。そんな心に残った五輪の名場面を、選手の談話をもとに振り返ってみる。

 スキー・ジャンプの小林陵侑(25=土屋ホーム)は、6日に行われた男子個人ノーマルヒル(ヒルサイズ=HS106メートル)で合計275・0点で、今大会日本選手第1号の金メダルを獲得。個人種目では1998年長野五輪ラージヒルを制した船木和喜以来の快挙となった。取材エリアでは、報道陣に向かって「シビれましたか?ハハハ」と逆質問。五輪の魔物は?の質問にも「僕が魔物だったかも」と高笑いした。

 だが、7日に行われた混合団体(ヒルサイズ=HS106メートル)では複雑な思いを抱えて飛んだ。高梨沙羅(25=クラレ)のスーツ規定違反があり、日本は4位に。大波乱の展開となったが、小林は「みんなすごいですね。2本目、沙羅もすごくいいジャンプをしていましたし、本当に強いなと思います」と話し、高梨には「たくさんハグしてあげました」と笑った。日本だけでなく、ドイツ、オーストリア、ノルウェーに規定違反でポイント無効となる大荒れとなったが、日本は最後まで集中力を切らさず、全員でつなぎ切った。その中心に、小林陵侑がいたことは明らかで、エースの優しさも伝わる一幕となった。

 ◇小林 陵侑(こばやし・りょうゆう)1996年(平8)11月8日生まれ、岩手県八幡平市出身の25歳。5歳でスキーを始める。岩手・盛岡中央高出。15年土屋ホーム入社。18年平昌五輪ノーマルヒル7位。22年北京五輪ノーマルヒル金メダル。18~19年シーズンに日本人初のW杯個人総合優勝。兄・潤志郎、姉・諭果、弟・龍尚もジャンプ選手。1メートル74、59キロ。

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