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ターンオーバーの裏側 U―23アジア選手権

 出来過ぎと言えばそのとおりである。リオ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23選手権に出場している日本代表だ。

 チームを束ねる手倉森誠監督の采配が、意外性を持って受け止められている。グループステージの3試合を、大胆なターンオーバーで乗り切ったのだ。

 8強決定後の第3戦にメンバーを落とすなら、驚きを誘うことはない。

 手倉森監督は違ったのだ。第2戦からメンバーを入れ替え、そのうえで勝利をつかんできた。

 ターンオーバーの裏側には、チームの成熟度への物足りなさがつきまとう。久保裕也や南野拓実らの海外組は、昨年3月の1次予選を最後に招集がかなわなかった。久保は昨年末の合宿に参加したが、南野は現地ドーハからの合流である。彼らを取り巻くコンビネーションを熟成させるには、できるだけプレー時間を確保したほうがいい。

 ならばなぜ、手倉森監督はターンオーバーへ踏み切ったのか。

 苦い記憶がある。

 手倉森監督の就任直後に挑んだ2年前の今大会で、日本はベスト8で敗れた。のちにこう語っている。

 「イランとの初戦に3対3で引き分け、次のクウェート戦は0対0で引き分けた。3戦目のオーストラリアには4対0で勝ったけど、3戦を通してものすごいパワーを使ってしまった。それで、準々決勝のイラク戦は力が及ばなかった。準々決勝からは延長戦も想定しないといけないから、グループステージのマネジメントは非常に重要になる。最終予選では、選手の疲労を分散していかないといけない」

 準々決勝で勝てていないチームである。2年前に行なわれた今大会も、同年のアジア大会も、ベスト8で敗れ去った。もっと言えばU-19選手権でも、ベスト8の壁を乗り越えられなかった。苦い記憶がピッチ上で足かせとならないためにも、できる限り万全のコンディションで準々決勝に臨む必要があったのだ。

 チームの完成度への信頼も高い。活動期間は少なかった。実戦はもっと限られていた。それでも、昨年7月以降は月1回のペースで合宿を行い、チームのコンセプトを落とし込んできた。足りないものを嘆かずに、手にしているものを最大限に生かすことで、チームのレベルを引き上げてきた。

 「疲労困憊でここまで来ている選手は、ひとりもいない」と手倉森監督は言う。ターンオーバーで選手のコンディションを整えてきたということは、指揮官自身が退路を立つことである。対戦相手のイランより試合間隔は1日短いが、「疲労があった」という言い訳はすでに持ち出せない。出来過ぎとも言われるグループステージは、指揮官の覚悟を示すものだったと言っていい。

 ターンオーバーを敷いた理由は、もうひとつある。

 「アジアの頂点に立つ」という目標を達成するには、6試合を戦いぬかなければならない。固定したメンバーでは、勝負どころの5試合目、6試合目で限界を迎えかねない。準々決勝の壁を乗り越えるだけでなく、アジア王者としてリオ五輪へ挑むために、手倉森監督は「チームの総合力」で大会を乗り切ろうとしている。(戸塚啓=スポーツライター)

[ 2016年1月21日 05:30 ]

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