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【コラム】戸塚啓

調整試合カナダ戦 セットプレーに不安

[ 2022年11月19日 08:00 ]

練習に汗を流す三笘(撮影・西海健太郎)
Photo By スポニチ

 カタールW杯に臨む日本代表が、11月17日にカナダ代表とのテストマッチを戦った。9月の欧州遠征を最後に活動のなかったチームにとって、23日のドイツ戦を見据えた最終調整の機会である。

 結果は1対2に終わった。まずは、この試合でケガ人が出なかったことをプラスにとらえたい。そのうえで、ケガ明けの浅野拓磨と板倉滉、さらには田中碧が実戦を経験したことに意味がある。離脱期間の長かった浅野と板倉については、翌日以降のコンディションを見ていく必要はあるが。トップ下で先発した南野拓実にとっても、この試合はドイツ戦への助走になったはずである。

 試合開始時のポジションを見ると、4-2-3-1の2列目の右サイドに相馬勇紀、左サイドに久保建英が入った。いつもどおりなら久保が右で相馬が左だが、久保は左サイドでも使われてきた。さらに言えば、対戦相手のスカウティングを意識したのかもしれない。W杯の対戦相手との情報戦は、すでに始まっている。

 遠藤航、守田英正、三笘薫の3人は帯同しなかった。遠藤は脳震とうからの復帰プロトコルの過程にあり、守田は左ふくらはぎに違和感がある。三笘は体調不良で、合流そのものが遅れた。カナダ戦に帯同した冨安健洋も、別メニューでの調整が続いている。

 森保一監督が目ざす「まだ見ぬ新しい景色」、つまりベスト8以上に到達するには、グループステージの3試合で2位以内に入り、ラウンド16を勝ち抜かなければならない。

 そのなかで、4-2-3-1のシステムでダブルボランチを担う遠藤と守田は、DFラインの選手とともに警告を受けるリスクが大きい。そもそも中3日のスケジュールで、4試合連続でフル出場させるのは難しいだろう。

 遠藤については、ドイツ戦に間に合わないことも想定しておくべきではないだろうか。脳震とうをおこしたのは8日で、ドイツ戦は23日だから、2週間以上は経過することになる。時間的には出場可能とも考えられるが、症状は人それぞれだ。ドイツ戦に強行出場してそれ以降ピッチに立てない、といったことは避けたい。

 今大会は総力戦のスタンスが必須だ。その意味で、鎌田大地をボランチで起用し、終盤に3バックを試したことは、選手起用と戦術の幅を広げることにつながる。

 カナダ戦で気になったのは、1失点目だろう。前半3本目のCKからマークをズラされ、ネットを揺らされた。

 CKやFKは、勝敗を左右する重要なファクターだ。ペナルティエリアエリア付近での反則を減らし、セットプレーの守備を改めて確認したい。

 攻めのリスタートもポイントになる。海外組を含めたメンバー編成では、CKやFKをきっかけとした得点から遠ざかって久しい。FKについては、そもそも獲得する回数が少ない。

 カナダ戦はドイツにスカウティングされる。デザインされたセットプレーを見せるタイミングではなかった。非公開のトレーニングのなかで、どれだけ練り上げているか。

 スタメンの11人が誰になっても、チーム全体で勝利を目ざすことは変わらない。5人の交代枠も有効活用し、勝点をつかむのだ。(戸塚啓=スポーツライター)

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