【コラム】戸塚啓

大迫不在時の人選 日本人の強みとは

[ 2019年10月18日 15:00 ]

日本代表FWで絶対的存在の大迫勇也
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 カタールW杯アジア2次予選で、日本代表は10月10日にモンゴルを、15日にタジキスタンを退けた。9月のミャンマー戦を含めて3連勝となり、勝点9でグループ首位に立っている。

 タジキスタン戦は連勝スタート同士の対戦ということもあり、「首位決戦」との表現を使うメディアもあった。数字の上ではそのとおりだが、力関係には明らかな開きがある。森保一監督のチームは10時間以上をかけてアウェイへ移動し、ピッチは慣れない人工芝だったが、3対0のスコアは驚きではない。

 勝利を疑う要素のなかった今回の2試合で、注目を集めたのは1トップの人選だった。絶対的存在の大迫勇也を欠くなかで、指揮官は永井謙佑、鎌田大地、浅野拓磨の3人をFWで招集した。

 モンゴル戦では永井が先発し、後半60分過ぎから鎌田が1トップとなった。タジキスタン戦では鎌田がスタメンで出場し、80分に永井が出場した。浅野はタジキスタン戦の60分過ぎから、2列目の左サイドで起用された。

 結論から言えば、前線がもっとも整理されたのはタジキスタン戦の後半だった。3人の誰かが1トップを務める立ち位置ではない。前半は1トップだった鎌田がトップ下へポジションを下げ、トップ下の南野が最前線へ上がった関係性である。二人が横並びになる局面もあったが、いずれにしてもが攻撃そのものがスッキリとした。

 トップ下が適正ポジションの鎌田は、前を向いてボールを受けることで選択肢を多く持つことができる。南野はそもそもストライカーの適性を備えており、森保監督就任後は最多の10ゴールをマークしている。どうやって得点を奪うのかを考えるときに、相手ゴールにもっとも近いエリアで彼をプレーさせるのは合理的と言える。

 モンゴル戦でもタジキスタン戦でも、サイドからのクロスがヘディングシュートに結びついている。得点にもなった。しかし、W杯で対戦する相手を想定すると、クロスからのヘディングシュートは得点パターンの最上位にならない。アジア最終予選でも同様だ。

 流れのなかで高さを押し出す攻撃は、大迫がいなければなおさら優先順位が下がる。それよりも、サイドからの低くて速いクロスをシュートへつなげたり、カウンターに活路を見出したりするべきだろう。

 W杯レベルで大迫と同じくらい信頼を寄せられるポストプレーヤーは、現時点で見当たらない。22年までの3年間で、出現するとも思えない。

 その一方で、2列目の人材は豊富だ。今回の2試合に招集された選手だけでも、南野、中島翔哉、堂安律、伊東、原口元気、久保建英の6人がいて、鎌田と浅野も加えれば8人にもなる。

 彼らの「個」の力とスピード、さらには対世界で日本人の強みとなるアジリティを生かした組み合わせを、大迫不在時のオプションとする。W杯を念頭に置いたチーム作りに沿うものとして、それこそが現実的な選択肢と言えるはずだ。(戸塚啓=スポーツライター)

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