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【コラム】戸塚啓

A代表、U-24代表との兄弟マッチ 「負けられない」という重圧

[ 2021年6月2日 17:30 ]

<日本代表練習>6月1日、練習に汗を流す(右から)南野、大迫、昌子(撮影・西海健太郎)
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 両チームがどんなメンバーで挑むのか、いまから楽しみだ。

 6月3日に行なわれる日本代表対U-24日本代表戦である。

 ジャマイカの一部選手が予定どおりに来日できなくなったことによる緊急措置だが、率直に言ってジャマイカ戦より興味深い。

 U―24日本代表は、5日にU-24ガーナ代表との試合を控えている。東京五輪で対戦する南アフリカを想定した一戦だ。今回も森保一監督に代わって指揮を執る横内昭展監督は、「五輪を前にアフリカ勢とやっておきたかった。ガーナとできるのは非常に意味がある」と話している。一人ひとりのプレータイムはともかく、ベストメンバーをぶつけたいところだ。そう考えると、日本代表戦はバックアップメンバーを中心としたチームになるかもしれない。

 日本代表は、対戦相手が変わっただけだ。当初のスケジュールどおりに活動しているので、どのようなチームを編成するのかは森保監督次第である。5月28日のミャンマー戦に先発した大迫勇也や長友佑都らは起用せず、ミャンマー戦のサブメンバーと国内組を中心に戦う、という考え方もあるだろう。

 U-24日本代表にはオーバーエイジの3人や冨安健洋、堂安律、久保建英ら、日本代表の選手も多い。そういう意味では、日本代表の紅白戦という言い方もできる。ただ、日本代表の練習は基本的に非公開で行なわれてきた。無観客だがテレビ中継される今回の試合は、非公開の紅白戦とは違うものになる。

 紅白戦のような意味合いがあるとしても、日本代表の選手たちは「負けられない」という重圧を感じるかもしれない。U-24日本代表の選手たちも、ノープレッシャーでの戦いとはいかない。

 そのうえで言えば、負けた側が何かを失う戦いではないだろう。

 日本代表が負けたら、「ワールドカップ最終予選は大丈夫か?」という議論が巻き起こるのか?その日本代表を打ち負かしたU-24日本代表の選手たちが、東京五輪を経て日本代表に合流し、新たなチームが構築されるのだ。選手層は充実しているわけで、最終予選への不安はない。

 個人的にはベストメンバーでの激突を期待したいが、控えメンバーが中心になってもいい。たくさんの人に観られているという緊張感があり、国際試合と別種の緊張感にも包まれる今回の試合は、それぞれの選手が「自分は何ができるのか」を対外的にも示す機会となる。ポジションごとの序列が、改めて見えてくるところもあるはずだ。「禁じ手」とも報道される兄弟対決が、実はチームの強化に結びつくと実感できれば、今回の試みは成功したと言える。(戸塚啓=スポーツライター)

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