【コラム】戸塚啓

ヴィッセル神戸 継続性と一貫性に欠けるチーム作り

[ 2020年9月23日 17:00 ]

 ヴィッセル神戸のトルステン・フィンク監督の退任が、9月22日にクラブから発表された。

 ドイツ人指揮官は「家族のもとへ戻る」ことを退任の理由とした。新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した今冬から、家族と会うことができていなかったという。そして、家族が来日できる見通しは、現時点では立たない。いつ会えるのかさえも分からないのならば、自分がドイツへ戻るしかないとフィンク前監督は判断したのだろう。

 彼の気持ちは理解できる。しかし、「このタイミングで?」という唐突感は否めない。

 新型コロナウイルスの感染拡大による中断の影響で、今シーズンのJリーグはスケジュールがタイトだ。フィンク監督の退任直後は23日、26日、30日、10月4日と中2日から中3日で4連戦となっている。ここ7試合勝利から遠ざかっているとしても、監督交代のタイミングとしてはふさわしくない。10月4日までは指揮を執り、5日後の10日の試合から新監督(あるいは暫定監督)に任せるほうがベターだった。

 18年10月から20年4月まで指揮したファン・マヌエル・リージョにしろ、フィンク前監督にしろ、目の付けどころはいいと思う。問題は継続性と一貫性に欠けるところだ。17年以降は4年連続で、シーズン途中に監督が代わっている。これでは継続性のあるチーム作りができないし、一貫性も生まれてこない。

 そもそも神戸は、どのようなチームを作りたいのだろう。

 アンドレス・イニエスタのようなビッグネームをこれからも獲得し続けて、選手の「個」を押し出したサッカーをするのか──それはそれで、ひとつの方向性に成り得る。

 フィンク前監督はチームを去ったが、イニエスタのいる神戸は依然としてスタジアムへ足を運びたいチームだ。リーグ戦のタイトルをつねに争うことはできなくとも、ファンが観たいと思う選手を絶えず手元に揃えるのは、興行的観点に立ったチーム作りとして成立する。

 思いがけないプレゼントのようなタイトル獲得ではなく、リーグ戦の優勝争いの常連になりたいのであれば、継続性と一貫性を持ったチーム作りが必要だ。チームとしてどのようなサッカーをするのかを打ち出し、その方向性を実現できる監督を招くのだ。

 必ずしも攻撃的なサッカーをする必要はないだろう。カウンタースタイルだって、極めれば独自のチームカラーになる。

 大切なのは、ホームタウンの人たちの思いだと考える。日頃からクラブを支えてくれて、スタジアムへ足を運んでくれるホームタウンの人たちが誇りを感じられるサッカーが、そのチームに根づいていくのが理想だ。

 神戸はどうするのだろうか。元日本代表監督のハビエル・アギーレが候補者としてあがっているが、海外渡航がいまだ世界的に制限されているなかで、すぐに来日してすぐに仕事に取り掛かれるのか。

 個人的には、クラブを良く知るOBの監督就任はメリットが多いと感じる。三浦淳寛スポーツダイレクター(SD)の監督代行就任が噂されているが、彼とともに中長期的視点で「神戸のサッカー」を作り上げていくのはいい選択肢だと思う。神戸を応援する人たちの思いが反映されたサッカーを、三浦SDならピッチ上に描くことができるはずだからだ。(戸塚啓=スポーツライター)

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