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【コラム】戸塚啓

ルヴァンカップ J2クラブ出場は苦し紛れの数合わせ

[ 2018年2月2日 05:30 ]

JリーグYBCルヴァン・カップの日程表
Photo By 共同

 苦し紛れの数合わせのように感じるのは、僕だけだろうか。

 2018年シーズンのルヴァンカップに、J2リーグのクラブが出場することになった。昨シーズンのJ1で16位だったヴァンフォーレ甲府は当初から出場が決定し、同17位だったアルビレックス新潟は、柏レイソルのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフ次第で参加が決まる、とされた。

 果たして、柏はプレーオフで勝利し、ACLへの出場を決めた。これにより、甲府に加えて新潟もルヴァンカップへ参加することになった。

 なぜJ2リーグのクラブが、参加することになったのか。

 ACLに出場する4クラブを除くと、J1は14クラブになる。ルヴァンカップのグループリーグ分けが、同数でなくなってしまう。このため、14+2の16として、4クラブずつ4つのグループステージを成立させることになった。

 大会のレギュレーションは、各クラブの同意を経て決められる。甲府も新潟も最終的に首肯したということだろうが、一般的な見え方としては不公平感が拭えない。

 グループステージは3月7日から5月16日までで、J2リーグはこの時点で14節を消化している。ルヴァンカップとの並行スケジュールはリーグ全体の3分の1なので、それほど大きな負担ではないかもしれない。

 しかし、J2リーグは3月だけで6試合が組まれており、ここにルヴァンカップの2試合が加わる。4月もリーグ戦とルヴァンカップで合計7試合になる。

 バックアップ層にも実戦の機会を与えることを中長期的な視点でのメリットとしても、一時的には選手のやり繰りが難しくなりそうだ。ケガ人が続出したりしてこの時期に勝点をつかみ損ねてしまい、最終的にJ1昇格へ手が届かなかったりしたら、甲府と新潟の関係者が「ルヴァンカップがなければ……」と口にしても不思議ではない。

 出場クラブがACLにも力を注げるために、ルヴァンカップのグループステージを免除するのは妥当だと思う。アジアにおけるJリーグのプレゼンスを維持するためにも、4クラブの上位進出を後押しするべきだ。

 だからといって、ルヴァンカップにJ2リーグを巻き込んではいけなかった。J1の14チームを4、4、3、3の4つに分けるグループリーグでも、理解を得られたのではないだろうか。そのなかから各グループの1位が勝ち抜け、ACL出場の4クラブと合わせてノックアウトステージを戦う大会方式でも、問題はなかったと思うのだが。

 甲府と新潟がグループリーグを突破してプレーオフへ勝ち上がれば、6月にもう2試合を消化する。ベスト8入りすれば9月に準々決勝が2試合、準決勝に名乗り出ると10月に2試合が組み込まれていく。

 J1のクラブを差し置いて甲府と新潟が勝ち上がっていくのは、現実的に想定しにくい。両チームがグループリーグで敗退しても、批判を受けることはないはずだ。J2リーグの成績にしても、与えられた条件のなかで最善を尽くすというプロフェッショナルの前提に立てば、ルヴァンカップ出場は言い訳にできない。当事者となる2チームの関係者も、言い訳にするつもりはないだろう。

 それにしても、今回の大会方式が最善の策だったとは、僕には思えないのである。(戸塚啓=スポーツライター)

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