【コラム】戸塚啓

間違いなく長期戦 選手も観客も安心できる環境作りを

[ 2020年3月26日 16:30 ]

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う措置として、Jリーグが4月3日からの再開を延期した。J1は5月9日から、J2は5月2日から、J3は4月25日からの開催を、改めて目ざすことになった。

 賢明な判断だったと思う。

 東京では感染経路が不明の患者が増えている。目に見えないリスクが、私たちの生活を確実に冒している。

 爆発的に増えてしまうのか、それとも踏み止まれるのかの瀬戸際に、日本は立たされている。大規模イベントに該当するスポーツの再開へ、容易に踏み切れないのが現状だ。

 大規模感染の震源地にならないことは、Jリーグが背負う社会的な使命である。同時に、選手たちの思いにも寄り添わなければならない。

 サッカーのようなコンタクトスポーツは、練習でも試合でも他者との接触が避けられない。試合では中身を聞かれないように、顔を近づけての会話もある。一人ひとりの選手がどれほど気をつけて生活し、クラブ側ができ得る限りの対策を講じても、選手は感染への不安を抱くかもしれない。抱くものと考えるべきだろう。

 心に不安が入り込んでいる状況で、思い切ったプレーはできない。観客の心を打つこともできない。集中してプレーすることを妨げる要素があると、ケガのリスクも高まってしまう。

 国内の状況に照らし合わせれば、再開を先延ばしにするのは賢明な判断だったと言える。選手によりよい環境を提供するのは、興行としての大前提だからだ。感染の状況は日々刻々と変わっていくが、現時点でJ1とJ2の5月以降の再開は、現実的なラインだったのだろう。

 開幕を待たずに延期となったJ3は、前述したように4月25日に設定された。感染拡大と予防に関わる準備が18日までに整うとの前提に立ち、J1、J2に先行してサーモメーターなどの運用ノウハウを学ぶ機会にもなる。

 そのうえで、村井満チェアマンはアウェイからの来場の自粛を求めることも示唆した。人の移動をできるだけ抑えるためだ。あわせて、政府の専門家会議が示したクラスター発生のリスクにあげられる「人の密度が濃い」状態を避けるために、観客席の前後左右を開けるなどの対応が示された。

 新型コロナウイルスとの戦いは、間違いなく長期戦になる。選手も観客も安心できる環境作りこそが、再開への必須条件となるはずだ。(戸塚啓=スポーツライター)

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