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【コラム】戸塚啓

ボランチ・山口蛍のパートナーは?

[ 2017年5月20日 05:30 ]

 U−20W杯と久保建英が話題を集めているなかで、W杯ロシア大会最終予選が近づいている。

 3月のUAE、タイ連破で、日本はグループ首位に立っている。ただ、2位のサウジアラビアとは勝点16で並んでおり、3位のオーストラリアとは勝点3差だ。W杯にストレートインできる2位以内と、プレーオフに回る3位との差は、わずか1勝分の違いでしかない。

 しかも、残り3試合でサウジアラビア、オーストラリアとの直接対決が残っている。サウジアラビアとはアウェーで、オーストラリアとはホームで戦う。

 6万7千人収容を収容するリヤドのキングファハドスタジアムでの一戦は、オーストラリアやUAEでのアウェーゲームよりタフなものになるだろう。

 オーストラリアとのホームゲームも、予断を許さない。09年2月のW杯南アフリカ大会最終予選では、攻め込みながらもスコアレスドローに持ち込まれた。13年6月のW杯ブラジル大会最終予選は、後半終了間際のPKでどうにか引き分けた。この試合で日本はW杯出場を決めたが、オーストラリアに勝ち切ることはできなかった。

 上位陣との直接対決だけではない。6月13日に控えるイラク戦も、難しいゲームが予想される。さいたまスタジアムでギリギリまで追い詰められた相手は、ここまで勝点4しかあげることができていない。その一方で、日本だけでなくサウジアラビアやオーストラリアも苦しめてきた。格下ではないのである。

 今回の日本戦に向けた準備も周到だ。1日にヨルダンと、8日には韓国とテストマッチを行なう。日本戦への意気込みの表われだろう。わずかに残っているプレーオフ進出の可能性を、彼らはまだ捨てていない。

 日本はどうだろう。

 3月の2試合で勝利の立役者となった久保裕也は、さらに自信を深めて合流してくる。スタメンに抜擢されたGK川島永嗣は、ここに来て所属クラブでもピッチに立っている。

 勝利の立役者と言えば、今野泰幸を忘れるわけにはいかない。UAE戦では圧巻のパフォーマンスを披露したが、MVP級の活躍の代償として骨折をしていしまった。

 ボランチは不確定要素をはらむ。今野はいまだ戦列に復帰できていない。キャプテンの長谷部誠は長期離脱中だ。3月のタイ戦では酒井高徳が指名されたが、その裏付けとなったのは所属クラブでもポジションだった。同時の彼はハンブルガーSVでボランチを任されていたが、現在は左サイドバックだ。ボランチでの起用は考えにくい。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督がボランチの軸に据えるのは、3月の2試合に連続出場した山口蛍になるはずだ。そのうえで、山口のパートナーに誰を指名するのか。3月に招集した高萩洋次郎、遠藤航か。あるいは、過去に起用したこのある柏木陽介か、大島僚太か、永木亮太か。

 ボランチのメンバー選考は、イラクの特徴も考慮したものになるはずだ。ハリルホジッチ監督が誰を選ぶのかによって、対イラクの戦略も見えてくる。(戸塚啓=スポーツライター)

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