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【コラム】戸塚啓

久保 2試合連続出場なし 目に見える結果が必要

[ 2020年12月23日 20:00 ]

12月22日ビルバオ戦の試合前、ウオーミングアップするビリャレアルの久保建英(左)
Photo By 共同

 ビジャレアルの久保建英が、難しい状況に立たされつつある。

 レアル・マドリードから期限付き移籍で加入した今シーズンは、リーグ戦の開幕から試合に絡んできた。途中出場が多かったものの、現地時間12月13日開催の13節まで連続出場してきた。ヨーロッパリーグも5試合すべてに出場してきた。16日に1回戦が行われたコパ・デル・レイでも、後半途中からピッチに立っている。

 ところが、19日と22日のリーグ戦で出場機会を得られなかったことで、地元メディアがざわついてきたのだ。

 19日のオサスナ戦では、18歳のジェレミ・ピノのアシストから20歳のフェル・ニーニョがシーズン初ゴールを決めた。22日のアスレティック・ビルバオ戦では、ジェレミ・ピノがリーガ初得点をマークした。

 ジェレミ・ピノやフェル・ニーニョは、ビジャレアルの下部組織出身だ。一方、久保は期限付き移籍で加入している。ふたりはともに、11月に24年まで契約を更新した。

 中長期的な視点に立つと、下部組織出身の選手にチャンスを与え、一本立ちさせたほうがクラブの利益は大きい。ウナイ・エメリではない人物が監督でも、同じような起用法をするかもしれない。

 久保が不運に見舞われたのも事実である。

 12月6日のエルチェ戦で後半開始から出場した久保は、攻撃の停滞感を払しょくする好パフォーマンスを見せた。決定的なシュートも放ったこの試合を受けて、続くベティス戦ではシーズン2度目の先発に名を連ねる。

 ところが、ベティス戦のビジャレアルは前半のうちにケガで2回の選手交代を余儀なくされた。さらに後半に入った58分にも、ケガ人が出てしまう。ハーフタイムを除いて交代が許される3回のタイミングを、この時点で迎えてしまったのだ。

 エメリ監督はここで、久保をベンチに下げてサムエル・チュクウェゼを投入した。前半の負傷交代がなく、交代のタイミングがまだ残っていれば、久保がもう少し長くプレーできた可能性はある。

 ビジャレアルは現地時間29日に年内最後のリーグ戦を消化し、年明け早々の2日にもリーグ戦に臨む。さらに5日にはコパ・デル・レイ2回戦があり、8日にはリーグ戦を迎える。

 育成組織出身の選手が台頭している一方で、アタッカー陣ではモイ・ゴメス、パコ・アルカセル、カルロス・バッカらがケガで戦線離脱中だ。選手を使い分ける必要性はあり、久保にもチャンスが巡ってくるだろう。

 リーグ戦では後半途中からの出場がほとんどで、実戦でのリズムを磨きにくかったのは確かだ。そのなかでも、チームにポジティブな変化をもたらした試合はある。

 あとは、目に見える結果としての得点やアシストを決められるかどうか。年末年始の連戦できっかけをつかみ、状況を好転させてほしいものだ。(戸塚啓=スポーツライター)

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