【コラム】戸塚啓

若手に出場機会 ナビスコカップで年齢制限を

[ 2015年10月29日 05:30 ]

 今年もまた、ひっそりとファイナルを迎える。ナビスコカップである。

 3大タイトルのひとつに挙げられる大会のファイナルとは言っても、戦うのは通常のゲームと同じ2チームである。アントラーズとガンバを除いたクラブにとっては、どちらが勝ったところで感情を揺さぶられることはがない。全国的な盛り上がりが生まれないのは、ある意味で当然と言ってもいい。

 ただ、このまま「何となく」大会が続けられていくのは、どうにももったいない気がする。若年層の強化が叫ばれている現状を重ね合わせて、ナビスコカップに年齢制限を設けるのはどうだろうか。

 いろいろな考え方がある。

 1次リーグは23歳以下で戦い、準々決勝からは年齢制限をなしにする。1次リーグの年齢制限は、21歳でも22歳でもいい。若手に実戦経験を積ませる意味では、25歳以下ではちょっと年齢が高い。23歳以下のどこかで区切るのがベターだろう。

 準々決勝と準決勝では、年齢に関係のない日本人選手と外国人選手を、合わせて3人まで使えるようにする。そして、決勝戦ではフルメンバーで戦えるようにする──たとえばこんなレギュレーションでも、若手選手が経験を積む機会は増やせる。同時に、話題作りにもなるだろう。

 ナビスコカップには『ニューヒーロー賞』という個人タイトルがあり、選考対象は23歳以下の選手だ。そして、受賞者は決勝戦を前に発表される。準決勝まで年齢制限を設けることで、この賞の価値が高まるのでは、と考える。

 年齢制限のない現在でも、1次リーグではリーグ戦からガラリとメンバーを変えるチームが少なくない。それ自体は決して悪いことではないと思うが、第三者にはリーグ戦との「温度差」や「熱量」の違いとして映り、平日のナイトゲームという条件も重なって、観客動員も注目度も伸びない一因になっていると想像する。いずれにしても、ライト層をつかめない構造が生まれているのは間違いない。

 ならば、「1次リーグは23歳以下でやります」と、最初から宣言してもいいのではないか。それだけで物足りないのであれば、「リーグ戦の出場試合数が5試合以下の選手を、年齢制限に関係なく3人まで起用できる」といったルールを付帯する。5試合以下ではなく3試合以下でも、3人までではなく1人でも2人でもいい。

 こうすると、たとえばケガで戦列を離れていた主力選手を、うまい具合に起用できるタイミングがあるかもしれない。それはそれで、ファンへの訴求効果がありそうだ。1次リーグ突破のかかった重要なゲームに、チームのエースが出場できることになれば、観戦欲を刺激できるだろう。経験のある選手が若い選手のなかで「違い」を見せてくれることで、ベテランと呼ばれるプレーヤーの価値を再認識してもらえる機会にもなり得る。

 若年層の出場機会を増やしたいなら、まずはナビスコカップから手をつけてみたらどうだろう。(戸塚啓=スポーツライター)

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