【コラム】戸塚啓

フォルランがC大阪に加入したら

[ 2014年1月17日 05:30 ]

C大阪が獲得を狙うウルグアイ代表FWフォルラン
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 実現すれば楽しみな移籍である。セレッソ大阪が、ウルグアイ代表FWフォルランの獲得に乗り出しているという。

 Jリーグでプレーする外国人選手は、横滑りがすっかり定着している。他クラブで活躍した選手を引き抜いたり、過去に実績のある選手をブラジルから呼び戻したり、といった補強がほとんどすべてと言っていいぐらいだ。

 韓国Kリーグや中国Cリーグでの実績を判断材料に、ブラジル人を引き抜くルートも一般化してきた。Cリーグからベガルタ仙台へやってきたウイルソンは好例だ。

 Jリーグから韓国、中国へのルートも定番化しつつある。ACLをショーウインドーに見立てた選手の流れも、日本から中東への一方通行ではなくなっている。昨シーズンの柏がクレオを獲得したのは、ACLでの対戦がきっかけだった。TPPの締結よりひと足先に、中東を巻き込んだサッカーの経済圏が作り出されている。

 補強するクラブの立場になれば、実力が把握できている選手は優良株だ。ヴィッセル神戸入りしたマルキーニョスは、実に7チーム目である。昨シーズンの大宮で12ゴールをあげたノヴァコヴィッチは、複数のクラブから興味を示されて清水エスパルスへ移籍した。

 マルキーニョスは3月で38歳、ノヴァコヴィッチは5月で35歳である。どちらも年齢を感じさせないプレーぶりだが、ケガへの耐性に不安は募る。それでも興味を示すチームが複数あるのは、Jリーグ各クラブの安定志向を裏づける。

 Jリーグでプレー経験のある選手や、ACLで観たことのある選手なら、こちら側も実力は分かっている。「ケガさえなければ、これぐらいやってくれるだろうな」という期待感と安心感を足したような気持ちになる。

 居心地の悪さを感じないそばでは、「それでいいのかなあ」という気持ちが立ち上がる。外国人選手を選ぶクラブも、移籍市場を眺めている自分も、想像力を働かせるのを最初から省いている気がしてならないのだ。「外国人選手は、予定どおりに働いてくれたらOK」といった思いが、Jリーグ全体を分厚い雲のように覆っていないだろうか。

 少なくとも僕自身は、本田圭佑を迎えたACミランのサポーターのようなワクワク感を、久しく味わっていない。本田に対してシニカルな見方があったとしても、それはそれでうらやましい。

 フォルランがC大阪に加入したら、どんな化学反応が起こるだろう。ちょっと想像がつかない。ポポヴィッチ監督は、どのように選手を配置するのか?システムはどうするのか?フォルラン、柿谷、長谷川アーリアジャスールの関係は?

 想像の翼は、どこまでもひろがっていく。代表クラスの欧州移籍で集客力のある選手が減り、リーグの魅力が低下しているとの見方は根強い。実際にそのとおりなのだろうが、それだけではないとも思う。想像力を煽られる外国人選手の獲得を見送っているのも、沈滞ムードにつながっているだろう。

 フォルランが加入すれば、チーム力アップと観客動員増を両立させられるに違いない。セレッソは本当に彼を獲得できるのか。久しぶりにワクワクさせられる話題だ。(戸塚啓=スポーツライター)

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