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「リベリアの怪人Jr」米国代表・ウェア 親子2代の夢弾 W杯無縁だった父の代わりに「幸せ」1号

[ 2022年11月23日 04:20 ]

W杯カタール大会1次リーグB組   米国1―1ウェールズ ( 2022年11月21日    アハマド・ビン・アリ競技場 )

<米国・ウェールズ>前半、先制ゴールを決め喜ぶウェア(AP)
Photo By AP

 リベリアの怪人2世がW杯初ゴールを決めた。米国代表FWティモシー・ウェア(22=リール)が21日、ウェールズとの1次リーグ初戦で先制点を記録。終盤の失点で引き分けたが、現職のリベリア大統領で95年バロンドール(当時欧州最優秀選手)に選ばれたジョージ・ウェア氏(56)を父に持つストライカーが家族の夢を実現した。

 「WEAH」の文字を背負ったシャツでW杯に名前を刻んだ。95年にアフリカ出身選手で初めてバロンドールを受賞し、引退後は母国の大統領にまで上り詰めた父を持つウェアが前半36分、パスに抜け出して右アウトサイドで鮮やかに決めた。

 「W杯で得点するのは全ての選手にとって夢。家族の前でかなえられた。このゴールは仲間や米国、リベリア、家族にささげたい」

 終盤の失点で白星こそ逃したが、後半43分に退くまで何度も最終ラインの裏を突いて存在感を発揮した。時に力強く、時にしなやかな身のこなしはACミランなどで活躍した父ジョージ氏譲りか。驚異の身体能力で「リベリアの怪人」と呼ばれたが、アフリカの小国でW杯は縁がなかった。そんな父が願い続けた夢をかなえ、ゴールまで決めた。「国を代表してW杯に出場するなんてクレージー」と幼少期を振り返ったが、22歳にして代表戦出場はこの日が26戦目で4得点。俊足アタッカーとして地位を築いている。

 00年にニューヨークで生まれ、17年にパリSGとプロ契約。現在はフランス1部リールで活躍する。かつてクラブレベルで世界に君臨した父に続き、自身は代表で最高峰を目指す。「国と家族を代表して戦えるのは素晴らしい。幸せに思う」。ゴールを重ね、さらに喜びに浸るつもりだ。

 ≪18年から大統領就任≫ジョージ・ウェア氏は現役時代FWとしてパリSG、ACミランなどで活躍し「リベリアの怪人」と呼ばれた。アフリカ年間最優秀選手賞に3度選出され、95年にFIFA最優秀選手賞と欧州最優秀選手(バロンドール)を受賞した。リベリア代表でも75試合18得点の実績を残したがW杯出場はかなわなかった。03年引退すると政治家に転身。18年から大統領を務めている。

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2022年11月23日のニュース