MBS大吉洋平アナウンサーの「温泉書き流し」

白濁と透明…2つの泉質が楽しめる秘湯 青森県十和田市「谷地温泉」のありがたいぬくもり

[ 2022年4月20日 05:30 ]

 積もった雪で看板がよく見えない。辛うじて開湯400年と谷地の文字だけは確認できた。左右にはそびえたつ白い壁。どうやらこの雪の回廊を進めば温泉があるらしい。

 青森県十和田市。真冬の八甲田山麓をドライブ中に偶然見つけたのは山の一軒宿、谷地温泉です。駐車場からザックザクと銀雪の上を歩きました。どこが入り口かと迷うほど、全体を雪で覆われた木造の建物がお宿。玄関では丸くなった数匹の猫が迎えてくれました。後から聞いた話では、春になるといなくなり、冬の訪れとともにまた戻って来る常連さんなのだとか。

 日帰り入浴の代金600円を支払い、中へ入りました。驚いたのは2つある湯船の色が違うことです。白濁した湯は上の湯と名付けられ、温度は高め。もう一つは下の湯と呼ばれ、無色透明で38度。それぞれ皮膚疾患や神経痛に良いとされる異なる泉質の温泉を、同じ場所で楽しむことができるのです。

 ぬるめの湯に長く浸かり、高い天上へと立ち上る湯気を眺める。しばらくするとまた熱い方へ。凍っていた体がゆっくりと溶けていきます。湯は注がれるのではなく、足下から自噴しているので、浴室内がとても静かなのも特徴でした。

 寒さがあるからこそ、このぬくもりがありがたい。またあの猫たちのように、あえて雪深い季節に戻って来たいと思うのでした。

 ◆谷地温泉 青森県十和田市法量谷地1。(電)0176(74)1181。営業時間は午前10時~午後5時。料金は大人600円。

 ◇大吉 洋平(おおよし・ようへい)1985年(昭60)8月23日生まれ、兵庫県出身の36歳。甲南大卒。2008年にMBS入社。19年4月から情報番組「ミント!」MC。現在「よんチャンTV」ニュースキャスター。温泉ソムリエでもある。

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