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MBS大吉洋平アナウンサーの「温泉書き流し」

山間の迷路を抜けるとそこは思考も停止する仙境であった 大分県別府市・明礬温泉「へびん湯」

[ 2021年7月21日 05:30 ]

へびん温泉は思考が停止してしまうほどの仙境です
Photo By 提供写真

 お勧めできない秘湯。大分県別府市にある代表的温泉地の総称、別府八湯の中で最も標高が高い所に位置するのが明礬(みょうばん)温泉です。鶴見岳の中腹にあるこの場所から、さらに山中へ入っていくと数個の野湯が。中でも悪路を抜けないと行けないのに、地元の温泉通から愛されているのが「へびん湯」です。

 私は何度も道に迷いました。正確には、結果として合っていたのですが、果たしてこの行き方は正しいのかと途中不安になり、数回引き返したのです。凸凹の山道は舗装がされておらず、極端にくぼんだ水たまりも。避けようとすると斜面が眼下になんてことも。冷や汗や脂汗をたくさんかき、ある意味で入浴の準備は整いました。

 車を停め、川へ下ります。岩を足場に進みます。脱衣所とはなかなか言えない掘っ立て小屋を目にした時は、すでに達成感がありました。麓へ向かい、段々に造られた4つの岩風呂。下に行くに連れて温度は低くなります。

 源泉につかるためだけに時間とお金と、少しのリスクを負ってここに来た。こういう時いつも、自分は一体、何をしているのだろうと少し俯瞰(ふかん)で見る癖があります。

 ただ、名湯に包まれるとその瞬間に思考が停止します。無防備の極限です。都会ではここまで心のチェーンが緩まることはありません。お勧めはしません。私もしばらく訪れていません。ただ誰か一緒に来てくれるのならまたあの仙境で癒されてみたいものです。

 ◆へびん湯 大分県別府市鶴見。大分市中心部から車で約45分、大分空港から約1時間。無料。

 ◇大吉 洋平(おおよし・ようへい)1985年(昭60)8月23日、兵庫県生まれ。甲南大卒。2008年にMBS入社。「よんチャンTV」ニュースキャスター。

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