ほぼ“歌なし”で魅せる新しい世界観

[ 2020年8月22日 05:30 ]

新たな宝塚の世界をつくり出した真風涼帆
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 宙組トップスター・真風涼帆(まかぜ・すずほ)主演の「FLYING SAPA―フライング サパ―」が9月6日、東京・日生劇場で開幕する(15日まで)。

 先に行われた大阪公演では、これまでの宝塚にはない不思議な世界観が劇場を覆い、スピーディーな展開にファンの目はくぎ付け。真風も「自分の集中力と想像力の限界に挑戦」と話していた通り、未来の水星を舞台にしたSFの世界にどっぷり浸り、ロングコートをなびかせての立ち回りや銃撃戦、圧倒的な存在感で魅了した。

 一番の驚きはほとんど歌がないこと。宙組スター芹香斗亜(せりか・とあ)がささやくように歌う場面などがあるくらいで、それがかえって際立った。宝塚ならではのフィナーレもなく、ほとんどストレートプレイのような構成で物語がズシリと胸に響く。

 同作は当初3、4月に東京だけで行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期となり、さらに劇場も代えて大阪でも行われることに。大阪公演の初日カーテンコールでは、芹香は感激のあまり涙を浮かべ、真風は「こうして上演することができる喜びと感謝。拍手を頂き胸が熱くなりました」などと話したという。「4カ月間、充てんしたエネルギーで大きな感動を届けたい」と力を込め、真風が生み出した新しい「宝塚」。見逃すのはもったいない。(土谷美樹)

 ◇真風 涼帆(まかぜ・すずほ)7月18日生まれ、熊本県出身。県立大津高を経て06年初舞台。星組配属。15年5月、宙組に組替えとなり17年11月、朝夏まなとの後を受けトップ就任。身長1メートル75。愛称「ゆりか」。


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