星組・紅ゆずる(上) 令和幕開けに「大化」誕生の瞬間

[ 2019年5月11日 15:53 ]

退団を発表しても「何か不思議な感じ」と話す紅ゆずる
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 10月13日での退団を発表した星組トップスター紅ゆずる。“プレ・サヨナラ公演”として、主演舞台「鎌足―夢のまほろば、大和(やまと)し美(うるわ)し―」を上演中の大阪・梅田のシアター・ドラマシティは、連日多くのファンが詰めかけている(東京・日本青年館ホールは19~25日)。

 紅が演じるのは「大化の改新」を推し進めた中臣鎌足。「令和」の幕開けに、日本初の元号「大化」が誕生した瞬間を描く巡り合わせに、紅も「タイムリー過ぎて…」と感謝し、初日の終演後も「演出の生田(大和)先生が、歴史の点と点をつなぎ合わせて、夜空に浮かび上がる星座のごとく、物語をつくり上げてくださりました」とあいさつするほどだった。

 トップになった時から「大劇場での主演5作で退団する」と決めていた。発表したことで、多少心は楽になったが「もう少し、何かが変わるのかな?と思っていたけど、お稽古が始まったら“ひとつの作品を作る”という必死さは変わらなかったですね」と笑う。「ふとした時に“あ、この稽古場に入るのも最後かな?”とか、自分の退団記事がネットにアップされるのを見て“そうか、私退団するんや”とか。どこかしら不思議な気持ち」と、複雑な心境を明かした。

 飽き性でどんな習い事も長続きしなかった少女が「宝塚が好きという気持ちは今も持ち続けている」と入団してから17年間、ひた走ってきた。「最後の日まで必死さは変わらない」。退団までのカウントダウンが始まっても、紅の闘いは続く。(土谷 美樹)

 ◇紅 ゆずる(くれない・ゆずる)8月17日、大阪市生まれ。東大谷高を経て02年初舞台。星組配属。08年「スカーレットピンパーネル」で新人公演初主演。11年「メイちゃんの執事」でバウホール初主演。14年「風と共に去りぬ」でレット・バトラーを演じ話題に。16年11月、トップスター就任。身長1メートル73。愛称「さゆみ」。

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