藤井聡太棋聖、7冠後初黒星 棋聖戦5番勝負第2局、1勝1敗に 竜切りの直後返し技に屈す

[ 2023年6月24日 04:30 ]

棋聖戦第2局に臨む藤井聡太棋聖(日本将棋連盟提供)
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 藤井聡太棋聖(20)=王将、名人、竜王、王位、叡王、棋王含む7冠=に佐々木大地七段(28)が挑む第94期棋聖戦5番勝負第2局は23日、兵庫県洲本市の「ホテルニューアワジ」で指され、111手で先手佐々木が勝利した。二転三転の終盤を佐々木が華麗な返し技で制し、タイトル戦初勝利。対戦成績を1勝1敗のタイへ戻し、藤井は前期に続き淡路島での対局で連敗。1日の名人奪取による7冠到達後、初黒星になった。第3局は7月3日、静岡県沼津市の「沼津御用邸」で指される。

 佐々木の決め手、自陣への香打ちを見た藤井が正座に座り直した。持ち時間を使い切り、秒読みの「6」まで読まれて頭を下げた。タイトル戦戦績54勝14敗の勝率・794を誇る藤井が、昨年に続いて淡路島対局に敗れた。史上最年少で7冠を達成後、初の黒星でもあった。

 「最後の最後で、良くなったところはあったかなと思う。うまく切り返されて、負けにしてしまった」

 勝っても負けても、棋聖戦の淡路島対局は熱戦になる。渡辺明九段(39)を挑戦者に迎えた一昨年第2局は、藤井にとってタイトル戦2番目の長手数171手での勝利。永瀬拓矢王座(30)との昨年第1局は千日手2度の末、史上初めて同日指し直しのトリプルヘッダーで敗れた。

 22日の前夜祭。「対局室からの眺めが素晴らしく、集中できる対局室だな、と。淡路島は海の幸や特産品のタマネギをはじめ、食材が豊富で毎年楽しみ。第1局はベトナムで凄く暑かったですが、こちらは快適で過ごしやすい」。淡路島との好相性を語ったが、前期に続く連敗となった。

 四段目へ逃走した佐々木王を、背後から追った藤井の竜切り。その直後、佐々木が盤面中央に角打ちの王手を放った。華麗な返し技。その角は藤井銀の利きにあり、元々取られる運命だったが、その藤井銀が動くことで王の逃走ルートが確保された。この角捨てが、藤井の読みから抜けていた。

 過去15回のタイトル戦は15期獲得。つまり勝率100%の藤井だが、来秋、関西将棋会館が移転予定の大阪府高槻市でも昨年と今年のALSOK杯王将戦、5月の名人戦で1勝2敗。所属は関西本部だが、タイトル戦では関西地方で苦戦している。「本局は中盤で形勢を損ねた。次局以降終盤の競り合いに持ち込めるよう頑張りたい」と修正を誓った。


 ≪佐々木七段、逆転タイトル戦初勝利 角打ち王手「運良かった」≫この一言に思いが表れた。藤井の竜切りにひるむことなく103手目、盤面中央へ放った角打ちの王手で切り返しての逆転勝利。「運が良かった。1勝できてストレート(敗退)を回避できて良かった」。勝った佐々木が口にしたのは、3連敗によるシリーズ敗退への危機感だった。キープしたい先手番で採用した相掛かり。先手では過去55勝15敗、勝率・786を誇る佐々木のエース戦法で、ひとまず対戦成績をタイに戻した。


 ○…昼食メニューは藤井が淡路牛と淡路野菜のステーキ丼と、淡路島ぬーどるブイヤベース風スープ仕立てを双方ハーフサイズ、佐々木は淡路島牛丼だった。共に地元食材を使ったメニューを選んだ。午前のおやつは藤井が淡路島ブルーベリータルトとアイスコーヒー、佐々木は淡路島ブルーベリーコンポートとライチのムース、ホットコーヒー。午後は藤井がアイスレモンティーとオレンジジュース、佐々木は鳴門オレンジを使ったデザートとホットコーヒーだった。

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